十二時の鐘と同時にきっと私は消える。
そう言った彼女の儚げな笑顔に、
どこかの童話みだいだ、と思った。
どうして、どうしてそんなことが分かるというの。
彼女の心臓の音が伝わってくる。
彼女はこうして今も生きていて、
それが一生続けばいいのにとか思ってしまった。
確かに未来に保証なんてないから、
今を大切に噛みしめた。
…ああ、これで何人目だ。
どうしてどうして。
僕と関わった人は皆この世界から消えていく。
彼女は違うと思ったのに。
美しい鐘の音と引き換えに
気づけば僕はまたひとりになった。
─鐘の音─ #24
8/5/2024, 2:04:51 PM