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3/9/2022, 12:28:40 AM

「森の島」

私の島は、テーマを決めていても、実際は作業がやり易いように整備している。

住民達の部屋の中は、ゴミ屋敷の様に粗大ゴミが散乱している。整備してやっても良いが、そんな物に時間をかけられないのと、私一人が管理している訳じゃ無い。他の管理人が好き勝手ゴミをあげていたらああなったのだ。


私の仕事は、特に決まってなくて、最近までは客に住居兼仕事部屋を手掛ける仕事をしていたが、今は休憩がてら料理をしている。この世界は、野菜や穀物はよく採れるが、果物はあまり採れない。主に作るのは野菜料理ばかりだ。獣達よ、せいぜい野菜料理でも食ってろ。果物がある程度貯まったら、デザートでも作ってやる。ケーキや飴やチョコレートでも期待したか?お前らにそんな貴重な物やる訳無いだろ。冗談はイベントの時だけにしろ。

最近は、住民にあげるのが面倒くさくなり、めっぽう金稼ぎ用に料理している。一応、商店に売却するが、料理がその後どこに行くのかは分からない。問屋を通って別荘諸島の飲食店にでも出されているのだろうか?


新しく来た住民は、ポスターを取らせて貰うために撮影所に来てもらう。ただ、人気の無い醜悪な顔の住民は、出て行ってもらうのを待ってるが、他の管理人は、痺れを切らしてあみで叩きまくって出て行くように仕向ける。他の管理人は、写真をもらったらお気に入り以外は用無しらしく、今までの鬱憤を晴らすかの如くあみで叩きまくる。私は、住民はポスターを取らせてもらえば、後は用無しだが。


島の管理人をやっていて気づいた事は、金鉱石と埴輪が貴重だと言う事だ。金鉱石は分かる。何故、埴輪がそんなに価値のあるのだ?埴輪は、運が良ければ同じ種類の物がもう一度手に入る事がある。だが、鳩の埴輪は一回入手すると、二度と入手出来ない。人間界隈では、鳩の埴輪の様な一度しか入手出来ない物が人気が高く、夢見のベッドや見知らぬ猫から貰う物同様、それらの物の取引の時に喧嘩に発展する事がある。子供同士では喧嘩になり、大人はそれを利用して金儲けする者が居る。


森の島の仕事は結構楽しい物だ。四季が変わって、春には桜が咲き、夏には虫や水の生き物がわんさか湧き、秋には木々が紅葉し、冬には雪が降るのだから。そして、季節に応じて、祭りがある。

ただ、運営は星の世界を警戒している。星の世界は祭りが毎日の様にあるからだ。森の島の人間達を持って行かれない様に森の島の運営も色々祭りを拵えて居る様だが、あまり、流されなくても良いと思う。あんまり星の世界の様に毎日祭りを拵えると、本来の自由性と言う物が無くなるぞ?

2/22/2022, 5:02:31 PM

「薄幸の歌姫」

女の子は、勉強が好きでした。

何故かと言うと、家が貧しくて玩具を買って貰えなかったからです。勉強しかする事がありませんでした。

物心付く頃に両親が離婚して、父親の記憶は、大きくて立派な家に美人な女の人と一緒に暮らしていて、「お金が欲しい」と、父親に懇願する母親に小銭が入った瓶を投げつけた記憶しかありません。

女の子には、父親が違う四つ年上の姉が居ましたが、母親と祖母に気に入られていたのか、新しい服や欲しい玩具を何でも買ってもらいました。女の子は、姉のお下がりしかもらえませんでした。

幼少期の頃、母親のキャバクラの仕事の都合上、女の子は姉と祖母と暮らす事が多くて、祖母は女の子をイジメていました。祖母は、女の子に家の手伝いをさせて、姉は祖母と玩具で遊んでいました。寝る時間までに玩具を片付けないと、祖母が部屋の電気を消して、女の子は一人で暗い部屋の中で玩具を片付けなければいけませんでした。

女の子は、
「祖母から嫌われてるのでは?」
と、いつも思っていました。

女の子は、十二歳になったある日、私立の偏差値の高い中学を受験したいと思い、母親に相談しました。母親は、
「全ての科目で95点以上だったら受けて良いよ」
と、女の子に言いました。

女の子は必死に勉強を頑張り、約束通り全ての科目で95点以上の点数を取りました。家に帰って、母親にテストを見せると、母親は、
「何で全部95点以上取ったのよ?!ごめん、受験の話は無しにして」
と、女の子の受験の話は無かった事にしました。

「何で、姉は塾に行かせてもらえるのに、私は受験させてもらえないの?」
女の子は、この日から勉強を捨てて、不良として生きる事にしました。

中学生になった女の子は、母親から「門限は5時」と言われていました。姉の門限は10時なのに自分だけ小学生みたいなルールなのが不満に思っていた女の子は最初は守っていましたが、不良仲間と花火大会に行った時に花火が見れなかったので、その日から門限を破るようになりました。だけど、必ずと言って良いほど母親に見つかり、家に帰ってから何回も殴られました。

その頃から、女の子は姉と喧嘩するようになりました。良い思いをしている姉が許せなかったのです。

ある日、母親は女の子の学生カバンをカッターでズタズタにしました。そして、女の子の持ち物全てをカッターでボロボロにしました。パジャマ以外着る服が無くなった女の子は、外に出る事が出来なくなりました。

女の子と母親は言い争いをしていると、受験勉強をしていた姉が
「ウルサイんだよ!」
と文句を言いに来て、母親に
「パチンコで勝った3万円私に頂戴」
と、言いました。母親は、
「い、一万円しか渡せないよ…」
と言い、姉に一万円を渡しました。
「今からショッピングモール連れてって。妹の持ち物全部買い直すから」
と姉は母親と妹を連れてショッピングモールに行きました。母親が女の子にかけていた制限はほぼ解除となりました。

中学卒業後、女の子はキャバクラで働きました。その頃からお金が入るようになり、欲しかった携帯電話をようやく買う事が出来ました。
「姉は持っているのに何で自分には買ってくれなかったんだろう?」
といつも思っていた物です。

キャバクラの従業員は、女の子にとても優しくしてくれました。学校の先生や友達やクラスメート全員も、女の子の事情を知っていたので、女の子にとても優しくしてくれました。

キャバクラで働き始めて数カ月後、一人の男性が女の子を指名しました。その男性は、大手音楽プロダクションのプロデューサーでした。プロデューサーは女の子に詩を書いてもらい、それを見ると女の子に
「アーティストにならないか」
と、芸能界に誘いました。

女の子は、嬉しくてたまりませんでしたが、アーティストになるには家を出なくてはなりません。

女の子は、友達や仕事仲間に協力してもらって、家を出る事に成功しました。

女の子は、プロデューサーの家で生活する事になりました。女の子は、プロデューサーと二人三脚で芸能界の仕事をこなし、華やかな芸能人の仲間入りを果たしました。

女の子の人気が上がるに連れて、プロデューサーとの気持ちにすれ違いが起きて、プロデューサーは浮気をするようになりました。女の子は、プロデューサーに対する恋心を歌詞に書き、歌っていただけにショックは大きい物でした。

プロデューサーは、女の子以外の女性と結婚しました。その時の女の子は歌姫の頂点に立っていて、共に仕事をしていたDJと結婚しました。

2/18/2022, 11:07:56 AM

「とんち王を目指す子」

休み時間、男の子は友達と野球をしようと運動場へ行こうとしていました。だけど、下駄箱で人だかりが出来ていたので、外に行くことが出来ません。

「何があったの?」
「人だかりで通れないよ!」
「どうすんだよ、休み時間終わっちゃうじゃん!」

人だかりのみんなは、目的地に行こうとする人、興味深々でその場にいる野次馬の人、泣いている女子を慰めている人で混乱状態でした。

「先生、呼んで来る!」
一人の児童が先生を呼ぼうとすると、
「先生は呼んじゃ駄目!」
と言う一声で、その場は更に混乱してしまいました。
「先生呼べよ!」
「何で先生呼ばないの?」
「怪しい匂いがするぞ?」
ここまで騒ぎが大きくなると、もう収集が尽きません。

「何があったんだよ?」
男の子は、泣いている女子を慰めている女子に事情を聞きました。
「この子、担任の先生からイジメられてて、修学旅行に行けなくなっちゃったんだって」
慰めている女子は、泣いている女子の方を見て言いました。
「先生は、流行り病で休んでたこの子だけ保護者の紙渡さずに自動的に欠席扱いにさせたんだよ」

「うわっ、ひでーな…そうだ!」
男の子は、職員室に向かって行くテレビ局の取材の人を見かけて思い付きました。
「その担任って、この局で好きな番組とか無いか?」
男の子は、慰めている女子に聞きました。
「あ!あるある!確か…」
慰めている女子は、男の子にその先生の好きな番組を教えました。
「よっしゃ!いっちょ行って来るぞ!」
男の子は、テレビ局の取材の人の所へ行きました。

一ヶ月後、修学旅行の日。
泣いていた女子の担任の先生は、大慌てで学校に向かっていました。
「何で、楽しみにしてたドラマが、急遽、放送枠が変わってしまうのよ?おかげで寝過ごしてしまったじゃない…」
学校に着き、バスが出発し始めている光景を目の当たりにした泣いていた女子の担任の先生は、必死で修学旅行のバスを追いかけていました。
「待ってー!」

「無視は良くないって、どの先生も言ってるもんな」
男の子は、修学旅行のバスを見ていました。

2/15/2022, 7:58:27 AM

「とんち王を目指す子」

男の子は普通の小学生です。
学習誌をこよなく愛する少年で、ヤンチャな一面もあります。

「ただいまー!」
男の子は、学校から帰って来ました。
「おかえり…って、コラ!また制服泥だらけにして!」
お母さんは、いつものように男の子を叱りました。
「母ちゃんだって、同じ物こんなに買って冷蔵庫に入んないんじゃねーの?」
「これ、全部必要な物!無駄な物じゃありません!」
お母さんは、男の子にビシッと言いました。
「じゃあ、買って来た冷蔵庫に入れる食材、全部入れてみろよ」
「じゃあ、入れて見せるわよ」
お母さんは、冷蔵庫に今日買って来た食材を入れ始めました。
「あれ?えーと…」
「ホラ、苦戦してんじゃん」
「ちょっと、喋んないでよ。今集中してるんだから…!」
お母さんは、ギュウギュウに詰まった冷蔵庫と格闘しながら食材を入れていました。
「じゃあ、オレ勉強してくるぞー」
男の子は、外に出て遊びに行きました。
「ちょっと、待ちなさい!宿題は…キャッ!」
お母さんは、冷蔵庫から落ちて来る食材を拾っては入れて、拾っては入れてを繰り返していました。

「ヤッター!運良く抜け出せたぞ!母ちゃんは本当に整理整頓が苦手だな」
男の子は公園に行き、友達と一緒に野球で遊び始めました。

2/14/2022, 5:35:02 AM

「我慢、我慢…」

とある街に我慢強いサラリーマンが居ました。

悪口を言われても我慢、

いたずらされても我慢、

気に入らない事があっても我慢、

何があっても我慢…

サラリーマンは、嫌な事があっても反論ぜずに我慢していました。

ある日、飲み会に誘われたサラリーマンは、お酒が苦手と言う理由で断りましたが、

「良いじゃん、良いじゃん」と、
上司や同僚達に強引に誘われて飲み会に参加する事にしました。

飲み会の会場では、大人数で宴会席全室を陣取り、良い気分になった社員達が楽しんでいました。

のどが渇いたサラリーマンはウーロン茶を注文しましたが、店員が聞き間違えたのかウーロンハイがサラリーマンの手元に来ました。

店員が「ウーロン茶です」と言ったので、サラリーマンは何の疑いもせずにウーロンハイを一気飲みしました。

一瞬、気が遠くなり、
目を覚ましたサラリーマンは青ざめてしまいました。

サラリーマンをイジメていた上司や同僚達の姿が無く、
辺り一面血の海で、むしり取ったかのような肉片が散乱していました。

サラリーマンは、血まみれになった自分の体を見てると、パトカーのサイレンがだんだん大きくなって聞こえて来ました。

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