ずっと隣で
君とは授業でたまたま隣の席になった。
君はスラッとしてて物静かでかっこいい。
もちろん彼女がいるのは知ってたから、ただの同級生として一線を引いて接していた。
ある日の授業で席替えすることになって君の隣じゃなくなった。
私は少し寂しかった。
それから間もなくしてまた席替えをすることになって、また私と君は隣同士になった。
「なんか、落ち着くね。ずっと隣だったから。」
不意に君はそんな事を言う。
ダメだとわかっているのに。
彼女がいるのを知っているのに。
ふつふつと顔が熱くなっていくのを感じて、鼓動も早くなった。
もっと知りたい
「あなたのこともっと知りたい。」
ほとんど関わりがない、ただのクラスメイトだと思っていた女の子から、声をかけられた。
いつもクラスの中心で、一軍のグループにいるキラキラしてる彼女。
対して私はどんなカーストにも属さない、というかそういうのに興味がなかったから一人でいるのも気楽だった。
たまたま、彼女と掃除の班が一緒になって色々会話をするようになった。
「休日は何してるの?」「好きな食べ物は?」「趣味とか好きな物は?」「好きな人とかいる?」「」
彼女の質問攻めに私は困惑して「内緒。」「秘密。」としか答えられなかった。
きっと、つまんない奴とか変人だと思われるだろうな。けど、彼女はそれ以来私に懐くようになった。
「な、なんでそんなに質問してくるの?」
「え?それは、あなたのこともっと知りたいから。だよ?」
不覚にも、そのセリフにちょっとキュンとした。
平穏な日常
『人生 山あり谷あり』という言葉がある。
朝から晩まで特に何もなく、ただゆったり平穏な1日を過ごせた時、私は幸せな気持ちに反して
無性に不安に駆られる。
今日こんなに穏やかに過ごせたから明日は嫌なことがあるかも、と。
そんな怖がりな私とは正反対な友達。
彼女は「そんなのは退屈だ。」と笑った。
ふたり並んでカフェで美味しいものを食べて楽しい話を何時間もする。
きっとこの楽しい時間の反動もいずれくる。
でも彼女といれば、なんか大丈夫かもって思える。
愛と平和
大きな愛は要らない。
この手に乗るくらいのささやかな愛で充分。
永遠の安泰は要らない。
あまり代わり映えのしない穏やかな平和で充分。
愛と平和。
多くは望まない。
ただ、ささやかな愛と穏やかな平和があれば、毎日幸せだ。
過ぎ去った日々
今日は卒業式だった。
結局僕は最後の最後まで君に告白することができなかった。
式が終わり、徐々にみんな帰っていく。
教室はガラガラになり、まるで役目を終えたかのように静まり返った。
僕はしばらく余韻に浸りながら、君のことを思い出していた。
1年生の頃に隣のクラスだった君に一目惚れして、少しずつ喋れるようになったけど、仲良くなれたのが嬉しくて、"好き"という気持ちをずっと隠していた。
そろそろ帰ろうと昇降口に向かうと、君がいた。
なんて声かけようか迷って立ち止まっていると、
「よっ!お互い卒業おめでとう。」
君の方から気さくに声をかけてくれた。
「おっ!おめでとう。」
「あね、嫌じゃなかったら、ツーショ撮ろうよ!記念に!後で写真送るから。ね?」
「え!?あ、も、もちろん。」
写真を撮り慣れている君は色んなポーズと表情をする。
対して僕はピースしかできないし、表情も固くなってしまう。
「あはははっ!顔固っ。でもまー、らしくて好き、かな。はははっ。」
不意の好きという言葉に戸惑ってしまう。
きっとあの時、君に好きだと伝えられたら、何か変わったのだろうか。
「…じゃ、明日からはあんま会えなくなるけど、絶対連絡してね。友達になれて良かったよ。バイバイ。またね!」
咄嗟に僕は君の腕を掴んでしまった。
「あ、あの。……あ、ぃや。えっと。僕も君…と友達になれて良かった。…ありがとう。」
現実はそう上手くいかないな。
あっという間に過ぎ去った日々、そんなあっという間の時間の中で君に出会えて、好きになって、
僕にとっては最高に幸せな日々だった。
だから、最後に"ありがとう"を伝えられてよかった。