27(ツナ)

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2/26/2026, 11:12:52 AM

君は今

あれは高校受験の時、まだ寒い時期で試験当日外は雪。
私は自転車で会場へ向かっていた。
昔からの鈍臭い質が災いして、よりにもよって高校受験の日に自転車で盛大に転んでしまった。

周りにいた子達はクスクス笑いながら私の横を通り過ぎてゆく、恥ずかしくて恥ずかしく涙がこぼれそうだった。
「大丈夫!?…あ!血出てるね。これ使って。」
「え?あっ。ありがとうございます…。」
転んで擦りむいたのか膝からは血が出ていた、君は自分のハンカチで傷口を押さえてくれた。
「いえいえ、ハンカチ、そのまま止血して持ってていいから。お互い、試験頑張ろうね。…じゃ!」

あれから無事会場に辿り着いて、お陰で試験に集中できた私は志望校に合格した。
名前も学校も知らなかったから、君が誰でどこにいるかもわからないけど、あの時のハンカチはずっと大切にとってある。

ある日の下校中、横を通り過ぎて行った自転車の男の子が凍った道にハンドルを取られて転んでしまった。
私はとっさに駆け寄った。
「大丈夫ですか!?あ、手擦りむいて血出てる…ハンカチ、よりにもよって今日、あの子のしか持ってない…。」
「はははっ恥ずかしい…ありがとうね。ん?このハンカチ……あれ、俺のだ。」
まさかあの時と真逆のシチュエーションで君にまた再会できるなんて。
「あの時はありがとう!君のハンカチずっと持っててごめんね!お返しします。」
地べたに座り込んで私たちは笑いあった。

2/25/2026, 11:05:35 AM

物憂げな空

その日はやけに胸騒ぎがした。
その日はやけに雲が分厚くて息苦しかった。
今日は良くない事が起こる。

物憂げな空を眺めて、1人怯える。

私には視える能力があった。
視えるだけで何もすることができない、だから余計に辛い。
「そろそろ…来る。」
震える手でテレビをつける。
けたたましい警報音と共にテレビの上部に緊急地震速報が流れる。

今朝、テレビをつけた時に生放送の映像を見て私は慄いた。
テレビに映る全ての人に黒いモヤがかかっていた。
「あ…あぁ、死んじゃう。みんな死んじゃう。」
こんなの視たくもないのに、視えても何も出来ないのに。
気分が悪くて苦しくて嗚咽した。

2/24/2026, 11:25:57 AM

小さな命

赤ん坊の頃のアルバムを見つけた。
当時の手形が残されていて私はそっと今の自分の手と重ねてみた。
まだ産まれて20数年しか経ってないけど、あっという間に大きくなったんだな、なんて感慨深くなる。
命は平等…とは言い難いけど、どんな人にも公平にひとつの命が与えられて生きている。

なんとなく、こうして普通に生きていることが凄いことだなって感じる。

手のひらに絵の具で色を塗って、あの頃の小さな私の手の隣に今の私の手型を押した。

2/23/2026, 10:58:07 AM

Love you
(※2/21 「0からの」より、0の視点)

機関の養成施設に気の弱そうな細っこい新参者が来た。
聞くと俺と同い年、教育係兼ルームメイトとして仲良くしろと命令された。
「初めまして、俺は0(ゼロ)。お前の名前は今日からQ(クイーン)だ。よろしくな。」
どうやら親が死んで、金目当ての親戚に売り飛ばされたらしい。
俺は孤児だったからなんとなく親近感が湧いて、命令とは無関係に仲良くするようになった。

しばらくして施設での暮らしが終わり、組織の正式な構成員として活動が始まった。
2人1組で任務にあたる。俺はQをパートナーに選んだ。

ある日、上官に呼び出され個別任務を言い渡された。そして、上官から「相棒と別れる覚悟をしておけ」と告げられた。
結局、俺たちは組織の使い捨ての駒にすぎない。
「…そんなん、いつでも覚悟してますよ。」
そう吐き捨てて部屋を出たが、やはり怖いものは怖い。気づいた時にはシガレットケースのタバコは残り1本になってしまった。
俺は震える手で残った1本のタバコにメッセージを書いた。
"Dear Q" に続けて「Love you」と書こうとして、辞めた。
愛なんて安っぽい言葉じゃつまらない。
"Dear Q You're special to me. 0"
メッセージを書いたタバコにキスしてそっとシガレットケースにしまい、別の組員に託した。

2/22/2026, 10:39:09 AM

太陽のような

異様な明るさに空を見あげた。
そこには太陽があった。
けれど、時刻は17時、辺りは薄暗い。

それは太陽よりも大きくて赤くて不気味な雰囲気を纏っていた。
周りの空も赤黒く染められて
まるで違う世界の空みたいだった。

太陽のような月。

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