27(ツナ)

Open App

君は今

あれは高校受験の時、まだ寒い時期で試験当日外は雪。
私は自転車で会場へ向かっていた。
昔からの鈍臭い質が災いして、よりにもよって高校受験の日に自転車で盛大に転んでしまった。

周りにいた子達はクスクス笑いながら私の横を通り過ぎてゆく、恥ずかしくて恥ずかしく涙がこぼれそうだった。
「大丈夫!?…あ!血出てるね。これ使って。」
「え?あっ。ありがとうございます…。」
転んで擦りむいたのか膝からは血が出ていた、君は自分のハンカチで傷口を押さえてくれた。
「いえいえ、ハンカチ、そのまま止血して持ってていいから。お互い、試験頑張ろうね。…じゃ!」

あれから無事会場に辿り着いて、お陰で試験に集中できた私は志望校に合格した。
名前も学校も知らなかったから、君が誰でどこにいるかもわからないけど、あの時のハンカチはずっと大切にとってある。

ある日の下校中、横を通り過ぎて行った自転車の男の子が凍った道にハンドルを取られて転んでしまった。
私はとっさに駆け寄った。
「大丈夫ですか!?あ、手擦りむいて血出てる…ハンカチ、よりにもよって今日、あの子のしか持ってない…。」
「はははっ恥ずかしい…ありがとうね。ん?このハンカチ……あれ、俺のだ。」
まさかあの時と真逆のシチュエーションで君にまた再会できるなんて。
「あの時はありがとう!君のハンカチずっと持っててごめんね!お返しします。」
地べたに座り込んで私たちは笑いあった。

2/26/2026, 11:12:52 AM