27(ツナ)

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12/6/2025, 1:10:36 PM

消えない灯り

俺は俗にいう死神を生業としている。
死神は人間の魂、寿命の管理をして、最期に魂と肉体を切り離して冥土に案内する仕事を担っている。
寿命の管理は無数にある長さも太さもバラバラのロウソクで行っている。
ロウソクの灯りが消える頃に、現世に赴いて仕事をする。

ただ、死神界にも不思議な話はあって。
昔、先輩が飲みの席で話してた噂話で、長さがずっと変わらずに、ずっと灯り続けているロウソクがある事を聞いた。
俺はまだ実際に見たことは無いが、
今も、実はどこかにずっと消えずに灯り続けるものがあるようだ。

消えない灯り、そう、現世には不老不死の人間が実在しているらしい。
ま、噂話だから眉唾だけどな。


12/5/2025, 10:40:06 AM

きらめく街並み

街並みはいつもと同じなのに、なんでだろう。
君が隣を一緒に歩いてるだけなのに、まるでドラマの世界に迷い込んだみたい。
見慣れたいつもの街並みがきらめく。
君の綺麗な横顔が眩しくて、私は目を細める。

恋をすると、見える景色も変わるんだ。

12/4/2025, 10:26:33 AM

秘密の手紙

学校から帰宅するとテーブルに1枚のメモ用紙があった。

『頭をやってくる。 父』
と一言書かれたメモ用紙。

私の父は一般人では無かったから、私はこのメモの内容を曲解してしまった。
普通の人なら「頭をやる」=「たぶん、理髪店に行くってことか?」と理解するところ、
私は「頭をやる」=「頭(かしら)をやる(殺る)」と変換してしまったのだ。

私は死に物狂いで急いで事務所に駆け込むと、部下に髪を削いでもらっている父の姿があった。

12/3/2025, 12:02:41 PM

冬の足音

冬はまるで忍者のように私たちの背後から忍び寄る。足音を殺して1歩、1歩と確実に。

じわじわと寒さが迫り、気づいた時にはもう、冬本番。
暗殺者のように静かに迫る冬の足音。

12/2/2025, 10:53:39 AM

贈り物の中身

僕の父は僕が中学3年生、15歳の時に病気で他界した。
僕は受験生ということもあり、看病はほとんど母がしていて、心苦しい思いもした。
ちょうど志望校の受験の日に亡くなり、僕は父の最期を看取る事はできなかった。
ずっとその後悔を抱いたまま、僕はついに成人を迎えた。

母から小さな贈り物と手紙を受け取った。
箱の中には年季の入った重厚な腕時計が。
「父さんの形見」だと言われた。
母は父から僕が成人したら渡して欲しいと預かっていたそうだ。
それだけでも僕は充分嬉しかった、それから手紙を読んだ。

『愛する息子へ
君がまだ齢15という時に、この世を去ることになってしまったね。君が成長していく姿を傍でもっともっと、見ていたかったよ。君が大事な受験の時期に父さんの病気のことで色々迷惑をかけてしまったね、本当に申し訳なく思っているよ。君なら志望校に受かって、大学で学んで立派な社会人になると信じているよ。
20歳の誕生日おめでとう。
父さんが20歳の時に君のおじいちゃんから貰った腕時計。父さんのお下がりで悪いけれど、君への誕生日プレゼント。
これからも、父さんは空から君たちのことを見守っているよ。ありがとう。心から愛してるよ。』

今まで溜まっていた、大きな後悔の想いが解き放たれたような気がして、僕はプレゼントと手紙を抱えて、声を出して泣いた。

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