贈り物の中身
僕の父は僕が中学3年生、15歳の時に病気で他界した。
僕は受験生ということもあり、看病はほとんど母がしていて、心苦しい思いもした。
ちょうど志望校の受験の日に亡くなり、僕は父の最期を看取る事はできなかった。
ずっとその後悔を抱いたまま、僕はついに成人を迎えた。
母から小さな贈り物と手紙を受け取った。
箱の中には年季の入った重厚な腕時計が。
「父さんの形見」だと言われた。
母は父から僕が成人したら渡して欲しいと預かっていたそうだ。
それだけでも僕は充分嬉しかった、それから手紙を読んだ。
『愛する息子へ
君がまだ齢15という時に、この世を去ることになってしまったね。君が成長していく姿を傍でもっともっと、見ていたかったよ。君が大事な受験の時期に父さんの病気のことで色々迷惑をかけてしまったね、本当に申し訳なく思っているよ。君なら志望校に受かって、大学で学んで立派な社会人になると信じているよ。
20歳の誕生日おめでとう。
父さんが20歳の時に君のおじいちゃんから貰った腕時計。父さんのお下がりで悪いけれど、君への誕生日プレゼント。
これからも、父さんは空から君たちのことを見守っているよ。ありがとう。心から愛してるよ。』
今まで溜まっていた、大きな後悔の想いが解き放たれたような気がして、僕はプレゼントと手紙を抱えて、声を出して泣いた。
12/2/2025, 10:53:39 AM