こぼれたアイスクリーム
中3の夏休み、人生で初めての彼氏ができた。
嬉しくて気分がふわふわして毎日楽しかった。
夏休みのある日、彼が公園にデートに誘ってくれた。いつも制服姿だから、私服は一段と気合いが入る。
待ち合わせの10分前に公園に着くと、彼はもう待っていた。
「あ、あの、おはよ!ごめん!待った?」
「おっ!おは、よう。全然、全然!お腹すいて先にアイス食べてた!」
ふと見ると、彼の手には溶けかけたアイスクリームが暑さでこぼれそうだった。
「あ!アイスこぼれそう、気をつけて!」
「えっ!?おわっ!危ねぇ。ありがとう。……いつもと違うからさ。…その、服とか。か、か、かわ、可愛いくて。」
「へっ!?」
そうこうしてるうちに彼の手にあったアイスクリームは結局こぼれてしまった。
やさしさなんて
やさしさって色んな形がある。
純粋な思いやりのあるやさしさ
見返りを求めた裏のあるやさしさ
期待して敢えて厳しくするやさしさ
損得勘定を考えたやさしさ
やさしさなんて、その人の使い方、相手の受け取り方しだいで様々変化する。
あなたはそれでも"優しい"人が好き?
風を感じて
車窓から少し顔を出して爽やかな海風を感じる。
隣で運転している友人はずっと口を噤んだまま。車内には未だどんよりした空気が漂う。
「…運転お疲れ。なぁ、横見てみ!海!」
明るく振る舞うが、友人は顔面蒼白でしかめっ面をして運転をしていた。
しばらくすると、崖の近くで車が止まる。
「着いたぞ。」
そう言うと、トランクを開けた。
「手伝え。絶対に誰にも見られるなよ!周りを確認しろ。誰かに見られてたら俺らはおしまいだ。」
辺りはすっかり暗くなっていた。暗闇にどこからともなく不気味な波音がこだまする。
「ん。誰もいないから大丈夫だ。…さっさと終わらせよう。」
トランクからビニールシートに包まれた遺体を出して、急ぎ足で海に投げ棄てる。
崖の下を覗きこむと生ぬるくて気分の悪い風を感じた。
夢じゃない
放課後の教室。
暖かい日差しに照らされて眠る君。
そっと隣に座って、あどけない寝顔を眺める。
「う、んー。ふ、ふへへへ。」
突然、笑いだした。
きっと面白い夢でも見てるんだろうな。
そのあまりの可愛さに君に近づいて呟いた。
「…好きだよ。」
「……ぁたしも。好き!ん〜んふふふ。」
「!?」
えっと、まさか、起きてる!?いや、完全に寝てる。それとも、これは俺の夢?
思いっきり自分のほっぺをつねった。
「…いっ、た。夢じゃ、ない。」
心の羅針盤
心には羅針盤がある。
『胸に手を当てて聞く』という言葉があるが、それこそが羅針盤だ。
答えに迷ったら、胸に手を当てて見て欲しい。
心が反応していれば答えはYES。
心が動かなければ答えはNOだ。
進むべき道は常に決まっている、誰もが心の羅針盤を持って人生という大海原を航海しているのだ。