「隠された真実」
俺の仕事は社会の裏で動くこと、すなわちスパイというやつだ。
所属の無い野良スパイの俺は表向き"探偵"として個人的に依頼者の依頼を請け負っている。
ある日、事務所に1人の女子高生が来た。
「…オセロ。」
彼女はポツリと呟く。俺はニヤリと笑って応える。
「…あ〜はいはい。オセロね。で、依頼は?」
「消して欲しい人がいる。」
「ほぉ。女子高生からなかなか物騒な言葉が聞こえたけど、まぁ、ご依頼とあれば。」
オセロとはごく一部の人間しか知らない暗号。表向きの探偵の依頼ではなく、裏のスパイ活動の依頼ってことだ。
数日後、ある政治家が自宅で急死したニュースが流れた。持病の悪化で事件性はなく不慮の事故死、と。
まぁ、俺の仕事だけど。
今日も平和のため探偵 兼 スパイとしての非日常のような日常は続く。
「風鈴の音」
「チリンチリーン、チリンチリーン」
風に揺られた風鈴の爽やかな音が聞こえてくる。
隣の家には年配のおじいさんが1人で暮らしていた。
おじいさんは毎年夏頃になると風鈴を軒先に出す。僕にとってあの風鈴の音はいつの間にか夏の風物詩のひとつになっていた。
今年の夏、ついに風鈴の音は聞こえなかった。
おじいさんは夏前に天国へ旅立ってしまったのだ。
風鈴の音が聞こえないと無性に寂しく感じる。
僕は雑貨屋に行って風鈴を買った。
「チリンチリーン、チリンチリーン」
おじいさんがいた頃とかわらない風鈴の音色に今日も癒される。
「心だけ、逃避行」
午後の授業はどうしても眠くなる。
意識が半分遠のいていき、変な浮遊感のままグラウンドをぼーっと眺める。
すると、まるで目を開けたまま夢を見ているような不思議な感覚になる。
体は教室にあるけど、心はグラウンドの方へ逃避行している。
所謂、白昼夢というやつだ。
僕は今日もこうして体を置き去りにして、心だけで夢の世界へ逃避行する。
「冒険」
いくつになっても冒険はできるよ。
だって、新しいことにチャレンジすること=冒険だから。
年齢とか性別とか関係ない。
新しいことにチャレンジするみんなが冒険者だ。
君は?この世界でどんな冒険をしてみる?
「届いて.....」
引っ込み思案な私は今日も彼に想いを伝えられなかった。
「あなたの事が好きなこの気持ち、届いて、届いて、届いて、届いて、届いて……。」
誰もいない放課後の屋上でひとり小さく叫ぶ。
「そんなんじゃ届かないよ〜。」
誰かの声にハッとして振り返ると、そこには腕組みして出入口に仁王立ちする金髪の派手なギャルがいた。
「ひぁ!」
思わず変な声が出る。
「な、人をバケモノみたいに…失礼な。」
「あっごめんなさいごめんなさい!ちがくて、びっくりして…って、私の独り言、聞こえてましたよね?」
「ん?聞こえてたよーん。あんた好きなコいるでしょ?でも、怖くて好きって言えないんだ?…でもさ、そんなんじゃいつまで経っても何も進まないし何も起きないよ?怖いのはわかるけど生きてる今のうちしか、人を好きになったり人に好きって伝えたり、出来ないよ?ぜーったい後悔するよ!」
なぜか初対面の私なんかの背中を押して真剣にアドバイスをくれた。
「あっあの、何組ですか?名前は?」
「え?あたし3組の──。」
「───さん。ありがとう!なんか、好きって伝えられる気がしてきました。」
「大丈夫!あんたの想いはきっと届くよ。後悔しないように生きてね。そいじゃ!」
そう言うとギャルのあの子はクルッと背を向けて去って行った。
後日、彼に想いを伝えて付き合うことができた。お礼を言いに彼女を尋ねて3組に行った。
しかし、
「あのっ、人を呼んで欲しくて。えっと、名前は…アレっ、な、名前、は。んーと。」
「え?名前、わかんないの?どんな子?」
「あ、ギャルの子です!金髪で派手なメイクの!」
「ギャル…?うちのクラスに金髪のギャルなんて一人もいないけど?なんか間違えてるんじゃない?」
クラスの中を見渡しても彼女は見つからなかった。聞いたはずの名前もなぜだか記憶にモヤがかかったように思い出せなかった。
彼女は一体……?
何としても一言お礼が言いたいのに、あの日以来、彼女は幻のように跡形もなく消えてしまった。