27(ツナ)

Open App
5/22/2025, 11:48:46 AM

「昨日と違う私」
(※ 2/26「記録」の続き)

近くで殺人事件が起き、自首をしに警察へ行った翌日。拘留されることになり、私は留置所へ送られた。

次の日、事情聴取されることになった。
「本当にあの事件は君が起こしたのか?」
「はい。厳密には私ではなく"ワタシ"なんですけど…事件があった日だけ、私が毎日つけている記録がなかったので。」
「うーん、それだけだと証拠不十分なんだよ。凶器は一体どこへ?」
「…ワタシは記録をしないのでわからないんです。ごめんなさい。でも、着ていた服に血がついていたし、凶器もきっとその辺に捨ててありますよ。ワタシはそういう子なので。」
刑事さんはそんな私に困り果てた様子だった。

後日、現場の近くで凶器は発見され鑑識の結果ワタシの犯行で間違いはなかった。
精神鑑定や責任能力など色々複雑になると言われ
私はさっさとワタシの罪を認め、罪を償う。

あぁ早く、私の中のワタシを殺してしまいたい。


5/21/2025, 11:04:04 AM

「Sunrise」

毎日、仕事や家庭に追われる。
異常気象や不景気、事件事故のニュースばかり。
次第に心に余裕が無くなっていく。
なんでもいい。なにか、明るいものが見たい。

暗闇の中をひたすら彷徨っていると、東の空から、眩しい光が昇ってくる。

To a bright future with the Sunrise!
(夜明けと共に明るい未来へ!)

世の中が暗くてどんよりしているなら、太陽を見上げて少しでも前向きに、明るい気持ちを取り戻そう。
太陽が出ていない?
そんな時は、太陽みたいに輝く君の笑顔をみせてくれ!

5/20/2025, 10:41:35 AM

「空に溶ける」

なんにもない日って、実はものすごくかけがえなくて幸せなんだと思う。

毎日ヘトヘトになるまで働いて、ようやく休日。
たまには、何にも予定を入れないで過ごすのもアリじゃないかな?
なんにもなくて平和な1日。
これってもしかして最高の贅沢かもしれない。

雲ひとつない晴天、縁側に出て空を見上げる。
年甲斐もなく無性にシャボン玉を吹きたくなった。
優しく吹くと、無数のシャボン玉はフワフワと舞い上がり空に溶けた。

5/19/2025, 11:29:08 AM

「どうしても…」

大学で受講中、たまたま前の席にツヤツヤした綺麗な黒髪の女性が座った。

手入れが行き届いた綺麗なその黒髪に目を奪われる。きっと美人なんだろう、と心が弾む。声をかけようにも、どの学部のどの学年の人かもわからない。
僕はどうしても彼女の顔が見たくて、席を移動するフリをして彼女よりも前の席へ移動した。

自然な感じで後ろを振り返ると、そこには美女はいなかった。

代わりに、綺麗な黒髪ロン毛の男が座っていた。
目が合ってしまい、僕はぎこちなく微笑んだ。
すると、彼(?)は僕に向かってウインクをした。

好奇心は時に人を殺す。

5/18/2025, 11:41:28 AM

「まって」

父は歩くのが早い人だった。
幼い私も早歩きの父の後ろを懸命について行く。
けれど、どんどん進んで行ってしまう父。
歩いても歩いてもその距離は縮まらず、叫ぶ。

「まって!!!」

そうすると父はいつも、ハッと気づいて慌てて振り返り
「あ〜ごめん、ごめん。もっと、ゆっくり歩かないとな。」
と申し訳なさそうに私の頭を優しく撫でる。

ある日私は夢を見た。
いつものようにどんどん進んで行ってしまう父。
「まって!パパ!!ねぇ、まって!!」
手を伸ばして何度叫んでも、父は止まってくれない。
ついに、父の姿は遠く遠く消え去ってしまった。

汗だくで目覚めると、一気に現実に引き戻された。仏壇へお線香をあげる。
「パパ、またパパの背中を追いかける夢を見たよ。今日も私を見守っていてね。それじゃ、行ってきます。」

通勤路を寝ぼけ眼でボーッと歩いていると、突然どこかから「まてっ!!」と声がして、ハッと我に返り立ち止まる。
目の前を自転車が猛スピードで横切って行った。
驚いて、声も出せなかった。きっと父が助けてくれたんだろう。
私は空に向かって呟いた。
「ありがとう、パパ。」

Next