「風が運ぶもの」
俺はこの春から大学生。初めての一人暮らし。
お隣さんは、若くて美人の社会人のおねえさん。
ある日、洗濯物をこんでいると強風が…すると何かが飛んできた。
それはなんと、女性ものの下着!
「もしかしてコレ…。」
俺は期待と興奮に胸をふくらませた。
「でも、ベージュって…やけに渋い?ような?」
すると間もなくピンポーンと呼び鈴がなった。
「やだわ〜ごめんなさいねぇ、それ私のなの。ちょうど洗濯物こんでたら、あなたの部屋に飛んでっちゃって。」
玄関を開けてそこに居たのは隣のおねえさんではなく、下の階のおばあさんだった。
期待と興奮はもろくも崩れ去ってしまった。
俺は涙を呑み、風が運んできたその下着を笑顔で手渡した。
「question」
幼少期、目に入るもの全てがquestion
少年期、物事を理解するためのquestion
青年期、自分という存在や将来へのquestion
壮年期、世間や他者に対するquestion
中年期、これまでの人生を振り返りquestion
高齢期、これまで考えてきたことへのAnswer
人間の一生にはたくさんのquestionが生まれる。
その答えを出す時、人は一人前になれるのかもしれない。
「約束」
約束は嫌い。
約束を守るか破るかは、結局その人次第だから。
約束は嫌い。
たった4文字で人を縛ることも
自分を苦しめることもできるから。
約束は嫌い。
たくさん裏切られたから。
「必ず帰ってくるからね、約束。」
お互いの小指を繋ぎ合わせ、そういって出ていった母は二度と戻らなかったから。
「ひらり」
僕は普段は都内の大学に通う、冴えないただの男子大学生。
裏の顔は誰も知らない。
僕には気になる女の子がいる。同じ学部の可憐なあの子。授業中ボーっと眺めていると、ふと目が合ってしまい、逸らしてしまった。
私は普段は都内の大学に通う、ごく普通の女子大生。
裏の顔は誰も知らない。
私には嫌いな奴がいる。同じ学部の冴えないアイツ。授業中、ふと目が合ったが逸らされた。
今日の任務は政府要人の暗殺。2人はバディ。
今日も今日とて息のあった(?)コンビネーションで敵をひらりと躱してゆく。
「誰かしら?」
私はみんなの笑いもの。
街を歩けば、すれ違う人が。
学校へ行けば、クラスのみんなが。
家に帰れば、両親が。
いつしか鏡を見るのが恐怖になった。
そんなある日、彼女はちょっと顔貸してと言って強引に私を連れ去った。
「…できた!ほら、鏡見てみ?」
「……いや、怖い、です。無理です無理です。」
「大丈夫!!!」
彼女の真剣な目に負け、恐る恐る鏡を見た。
「えっ…これ…誰?」
鏡の中の別人のような自分に驚いていると、彼女は太陽のような眩しい笑顔で笑った。