2/24/2025, 10:26:42 AM
「一輪の花」
幼なじみの家にも赤紙が届いたと知らせを聞いた。
生まれた時から兄妹のように一緒に育ってきた彼は、ついに見知らぬ地に戦争に行く。
まだ幼かった私は戦争なんかに行って欲しくない、ずっとそばに居て欲しいという気持ちを上手く言葉に出来なかった。
私に出来たことは、彼の無事を願い一輪の花を手渡すことだった。
「これ、アンタに預けるから。…必ず持って帰ってきて。必ずよ。」
彼は何も言わずそれを受け取った。
「ん。行ってまいります。」
彼を最後に見たのは凛々しく敬礼し、去っていく後ろ姿だった。
あれから何十年も経ったある日、玄関の呼び鈴が鳴った。玄関を開けると、そこには誰も居ない、代わりにあの時あの人に預けた一輪の花があった。
2/23/2025, 12:05:51 PM
「魔法」
俺は魔法使い。
「好きだよ」「愛してる」「また会いたい」
この言葉は魔法のコトバ。
今日は君に魔法をかけてあげる。
明日は誰に魔法をかけようか?
『気持ち悪い?』『最低?』『クズ?』
なんとでも言えば?
そんな俺の魔法にかかったのは、君自身なんだから…。
2/22/2025, 11:58:26 AM
「君と見た虹」
学校からの帰り道。
重苦しい沈黙と両肩に感じる重みに耐えかねてふと上を向いた。
あの日、君の隣で見た空には大きな虹が架かっていた。
「あ!虹でてる。見て!」
僕が言うと、俯いていた君も顔を上げた。
「…ほんとだ!凄い…きれい。」
今にも泣きそうだったその顔が、虹を見た瞬間ぱっと笑顔に変わった。その時、僕は君を一瞬で笑顔にしてしまう虹のような人になりたいと思ったんだ。
君と見たあの虹は一生忘れない。もう、僕の隣に君がいないとしても。