雨は誰かの涙なんだって。
そう言ってた君は、もういない。
君がいなくなった日も、体が燃え尽きた日も
茹だるほど暑い晴天だった。
君がいなくなってから、
何度も泣き喚いているのに、
君がいる空には届いていないみたい。
送ろうとして、躊躇って、
送信ボタンがいつまでも押せない。
無力で、非力な僕の
無価値な恋を終わらせたくない、って
傲慢な心を燻らせてる。
空の彼方
惑星の外
同じ銀河のどこか
爛れた星の表面
燻る火山の火の粉
溢れるマグマの音
私は此処で待っていました
いつだったか、空に消えていった貴方を
この星の終わりは近いでしょう
私は、この星と共に死にゆくのでしょう
私は、今も貴方を待っているのです
夜の闇に紛れて、ひたすら。
ただひたすらにバイクを蒸す。
必死に追手の影から逃げていく。
行く宛はあるが、些か距離が遠い。
それまで追手に見つからないことを祈る他ない。
バイクがカーブを曲がる。
夜は未だ明けそうにない。
憤慨しながら、廊下を歩く。
窓の縁に積もった埃。
毛先の絡まった絨毯。
私の屋敷なのだから、綺麗でなくては。
使用人は新しくするべきだろう。
沸き立つ激情を抑え、私室に入る。
一流に作らせた花瓶。
生けてある花は萎れてしまっている。
一級の木で作らせた一等の机。
その上にあるカレンダーは去年のままである。
まったく、使用人は何をしているのか!
主人の机は常に最新の状態でなくてはならない!
私が死んでいようとも、守って貰わなくては!