ぽろぽろ落ちるあなたの涙が、
とっても美味しそうに見えた。
きっと、しょっぱいのだろうけど
甘かったらいいな、なんて思うのです。
ぼろぼろのあなたは可哀想だけれど、
いつもと違う素敵さを持ち合わせているので、
うっとりしてしまうのです。
誤魔化そうとするのも、いじらしいけれど
やっぱり、おしえてほしいのです。
あなたを泣かせるものが嫌いです。
あなたの素敵な一面を引き出したのが、
私じゃないことが許せないのです。
笑いながら私のことを見てくれるあなたが
一番好きなのです。
だから、やっぱりあなたには泣いてほしくないのです
死後の世界ってどんなのだろう?
叶うはずのない夢を諦めきれずに
追い続けている
捨ててしまえばきっと楽だろうけど
どうしようもなく、くだらない自尊心が
それを許してはくれない
ずっと微睡みに囚われている
どうかこの夢に終わりを
進むことをやめ、後ろを向くことを許されたなら、
夢を名残惜しく思えるだろうから。
今はただ夢の形をした重石をおろしてしまいたい。
つぶれてしまいそうだ。
私の隣に座るあなたの手をなぞる
なげだされた手の甲の節をいったりきたり
意味もなくなぞって、たまに指をつかんで
あなたは私に目もくれず、何も言わず
ただ私の隣に座っている。
傾けた頭をあなたの肩にのせる
逞しくて、重みがあって、いつもより冷たい
物言わぬあなたの頬に触れる
体温のない皮膚は作り物みたいで変な感じ
何も言わずに死んでしまうなんて、勝手な人
生きたあなたがいないと意味がないのに
私が寂しがりなのは知っているでしょう
私を置いていってしまう意地悪な人
どうせなら、私も一緒に連れて行ってほしかった
一匙のティースプーンにのった
お砂糖ほどの小さな幸せ
瞬く間に紅茶に溶けてしまって、
取り出すことはできなくなる
あっという間に過ぎ去ってしまうけれど
どうしても名残惜しくて
ずっとマドラーでぐるぐる掻き回してしまうの
ほんの僅かな幸せのひとときを忘れられないまま
ソーサーを持ち上げる
カップの水面に映る淋しげな自分を口に含んで、
幸せをまたひとつ、飲み込んでしまったの