無季

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9/10/2024, 1:04:41 PM



    世界を救うために、恋人を手にかけた
    世界に平和が訪れた。
    恋人が育てていた薔薇は枯れ果てた。

    肉を断つ感触も、耳に残る呻き声も、
    思考を縛り付けて、離してくれない。

    温かな日差し、荒れた家。
    キッチンに立つ君はもういない。

    カーテンを開け、窓の外を覗く。  
    君を犠牲にした世界は、
    僕が見るにはあまりにも美しい平穏だった。
    

9/8/2024, 2:57:29 PM



     70bpmで拍動してるあなたの心臓
     測定された数字でしか、
     私はあなたの鼓動を知らない

     69、67、…。
     少しの変化を恐ろしく感じて、
     ずっとモニターを見つめている

     いつか、元気になったら、
     あなたの心臓の鼓動を
     直に感じてみたい。
     だから、早く目を覚ましてね。

9/8/2024, 8:12:30 AM





    踊り狂って、舞台の上でこときれる。
    そんな幸福を夢見て、
    私は今日も踊るのです。

    アンコールは何度でも。
    爪先が擦り切れようと、
    指の一つが折れようとも。

    いつか、その時が来たら、
    貴方が私の体を燃やしてくださいね。

9/6/2024, 12:59:01 PM



    皆様が私のことを指さしております。
    信じられない、と言いたげな顔で、
    立ち尽くしております。

    せっかくの絨毯も、アンティークナイフも、
    血が固まってしまって、台無しです。

    時計の鳩が、三度鳴きました。
    日が昇るには、未だ早いでしょう。

    では、ご質問です。
    私は、殺したのでしょうか。
    それとも、殺されたのでしょうか。
    

9/5/2024, 10:31:47 PM



     割れた貝殻の破片で
     指の腹が切れた

     裂け目から覗く赤い血が
     滴り落ちた海の上

     私の命は廻ってる

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