おもちゃ買って
ハンバーグ作って
勉強ばかりやらせないで
夜一人にしないで
裸にしないで
手をつないで
叩かないで
怒鳴らないで
お前はアホなんて言わないで
もっと可愛がって
もっと抱っこして
ママ大好き
捨てられるなら
よそにやられちゃうくらいなら
伝えておけばよかった
もっと駄々をこねて
素直に甘えておけばよかった
テストでいい点とった
もっと褒めて
お前、テメェじゃなくて
名前で呼んで
マサって呼んで
変なことされたよぼく
怖かった
ママは綺麗だった
ママは美人だった
置き去りにしないで
誰かの奥さんになんてならないで
他の子のママになんてならないで
怒られようと
叩かれようと
怖かったけど
ぼくはママのこと好きだった
ぼくを捨てないで
知らない家になんてやらないで
知らない人に連れて行かせないで
ママと離れるなんていやだよう
再婚して子を産んで
ぼくだけのママでなくなってもいい
ぼくも連れてって
静かにしてる
おねしょもしない
言うこともきく
裸にして叩いてもいい
ママの邪魔にならないようにする
いい子にするから
行かないで
ぼくも連れてって
捨てないで!!
伝えたい
この場所で
今
あの人に会えたら
どんな気持ちするだろう
どんなに悲しいだろう
どんなに寂しいだろう
どんなに嬉しいだろう
どんなに素晴らしいだろう
この場所で
あの時
あの人に会えたなら
あの人はどんな気持ちがするだろう
どんなに悲しいだろう
どんなに寂しいだろう
どんなに嬉しいだろう
どんなに素晴らしいだろう
この場所で
これから
僕たちが会えたなら
どんなに悲しいだろう
どんなに寂しいだろう
どんなに嬉しいだろう
どんなに素晴らしいだろう
誰もがみんな
父がいて母から生まれる
ぼくにはママとパパが
彼らにもママとパパが
その前にも
その前も
そうやって100年
1000年 10000年
邪馬台国
ピラミッド
石器時代
クロマニヨン人
アウストラロピテクス
まだまだ遡ると
恐竜の麓にいた小動物
さらに先を辿ると
海に突然生じた有機物に行き着く
それはどこから来たか?
なんで発生したのか?
誰にもわからない
でも確かにつながってる
どこかで
誰もがみんな
お礼や
ねぎらいの花束ではなく
好きで、照れて
初めて花束をあげたのは
大学四年の時に知り合った女のひと
ぼくにとって初めての彼女だった
カッコつけて冷静を演じ
いつも聞き役に徹して
優しくするようにした
短大を出て
保育士をしていたその人は
年齢より遥かに幼く見え
体は丸みを帯び
ほっぺたにいつも赤みが咲ていた
目は清らかな泉を思わせ
素敵だった
ぼくと彼女はともに未経験だった
結婚してからしようね
と彼女に言われ
もちろん!と
真面目な人と思われたくて
強がった
でも下心しかなかった
女性としたかった
彼女としたかった
彼女とデートしている時
パンツの下であそこを苦しくしていた
そんな思いをひた隠し、
割と花束を買って行った
横浜の港を見つめ息苦しくキスし
彼女は僕のジッパーをおろし
僕の彼女のブラウスに手を入れた
素晴らしくなれるところを
喘いで確かめ合って触り合った
公園の木下でも
似たようなことをした
デートして
夕方から夜になると
暖かい頃は、
外で大抵そう言う流れになった
初めての彼女
初めて異性に掴まれる
全てが濁流のように蕩けそうだった
僕にそんなことをしてくれる人が
現れるなんて奇跡としか思えなかった
僕はキスの途中、
ズボンの上から触られるだけで
何回もパンツを汚すことになった
お互いの家に泊まりに行きあった
彼女の家に泊まりに行く時は
花を買って行ったし、
彼女が僕のアパートに来る時は
花を飾ったりした
夕食を一緒に作り
彼女の話をとにかくよく聞いた
そして夜中の3時過ぎまで
裸になり僕たちは転げ回ったが
それでも僕たちは少年と少女のままだった
口でお互いを秘密を確かめ合い
その口でキスしあって
自らの秘密、命を生み出す場所の味を知った
僕は何回も
もう堪えられない
一つになりたいよう
と彼女に泣きついたが
結婚するまではと、毅然として言われ果てた
でも男と女が何年も付き合い
夜を何回もともにし
そんな誓いを守れるわけがなかった
自然、ある夜、開かれて悲願を叶えた
我を忘れた
全てが吹っ飛び発射された
それからは会うたび
明け方まで男と女のことをした
滑らかな素肌の背中
小麦の原を連想させる臍からの落ち込み
忘れえない腰の柔らかさ
手からこぼれる丸みに驚嘆した
コンドームがない時は必死に堪えて
涎を垂らしつつ脳の痺れに抗い
上り詰める寸前で腰を引いて
精を外で放出した
腰を駆け巡り
お臍の下の空間30センチの煌めき
を何回も味わった
あられもない姿を
晒しあって
要望を叶えあった
僕は喘ぎ
彼女は鳴いた
子音と母音で僕らは
耐えられず快楽の声を上げた
やがて命が宿る
僕はその人と結婚した
初めての彼女
初めての人が
今の奥さん
僕らは3人の子をもうけた
奥さんとしかしたことはない
彼女以外の女の人は知らない
知る必要もない
彼女に頻繁に花束をあげていたのに
気がつくと今
誕生日と結婚記念日くらいになってしまった
好きな気持ちは変わってない
ぼくの人生の成功は
彼女をものにしたことだ
それくらい愛している
花束、最近
あげてないので
明日 あげよう!
愛してるよ!
あの子は笑うと
周りから素敵と言われ
かわいいと言われ
贔屓にされて
愛された
まんまるく愛らしい瞳
ふっくらとした頬
色白で清々しい面立ち
凛とした眉
その笑顔を見ると
ズンときて
下腹部が硬くなった
一緒にいたい
それだけでいいと魅了された
僕が笑っても
誰もそんなことは
言わなかった
一番笑いかけたかったのは
ママだけど
怖くて笑いかけるなんてできなかった
人を信じられなかったので
素直に
喜びや
楽しさ
共感
感謝
思いやりから
微笑むことができない子供だった