「太陽のような」
暗く沈んだ場所にいて光を探して彷徨ってた。
そんな私のこと、「太陽みたいな奴だな」
って言ってくれたあなたに恋をしたことに
気づいたのは、いつだったかな?
「0からの」
知らないことを知るのは楽しい。
勉強や知識でも、仕事でも、人でも、なんでも。
私の知らないことが世界にはたくさんある。
そのことが、私は嬉しい。
「同情」
「同情してほしくないから話せなかったんだよ」
幼なじみのさっちゃんは続けて言う、
「コウちゃんは優しいから親身になってくれる。
でも、どこかで私のこと憐れんだでしょ?
可哀想なさっちゃんって思ったでしょ?」
すぐに言葉では否定も肯定もできず、
力なく黙ったまま首を振る。
「…コウちゃん、もう友達でいられないね」
さっちゃんが悲しげに、告げてくる。
「なんで!?私に悪いところがあるなら、謝るし、
ちゃんと直すから。だから…」
言葉を遮るようにさっちゃんが言葉を被せてくる。
「コウちゃんは、悪くない。謝らなくていいの。
ただ、可哀想って一瞬でも思われちゃったって知って、
心の狭い私は、許せないだけ」
さっちゃんは、悲しげに、でもハッキリと告げてくる。
「可哀想って思われるような私じゃなかったら、
ずっと友達でいられたのにね。ごめんね?」
首をコテンとして、可愛らしく微笑むさっちゃん。
きっと、一瞬も可哀想なんて思ってないと断言しても、
そう思ってごめんなさいと謝っても、どうしたって
さっちゃんとの友人関係はこれで終わってしまう。
それならば、最後までさっちゃんに対して、
私は、正直でありたい。
「…私が悪くないなら、さっちゃんはもっと悪くない。
…さっちゃんも元気なばあさんになりなよ?」
そう言って私は、涙を見られない内に
コーヒー分のお金を置いて去ろうとした。
「ねえ、コウちゃん。今日という最後の日に、
一緒に通ってた小学校の通学路、通って帰らない?」
振り向くと昔から見飽きるぐらい一緒にいた
さっちゃんが、泣いていた。
「…うん、もちろん」
2人で泣きながら思い出話しながら帰って、
いつもの交差点で別れた。
振り返らなかったから分からないけど、
きっとさっちゃんも振り返ってないと思う。
どうか、これからのさっちゃんが幸せであればいい。
元気に過ごして、ばあさんになっても、
幸せでいてほしい。
そう願える幼なじみを失った日。
「枯葉」
この感情もいつか枯れゆくことが悲しくて、
私の隣から離れてゆく彼の背を見る。
少しでもいい。彼の記憶に残りたい。
そう願って、振り返らない彼の伸びた影に、
しゃがんでそっと触れた。
その冷たい土の感触が忘れられない。
「今日にさよなら」
3年前の今日の写真がカメラロールで映された。
亡くなった祖母の作った料理を最後に食べた日だった。
久しぶりに食べる手料理が嬉しくて、
食べる前に写真を取っておいた。
とても料理が得意だった祖母。
まさかその1年後に亡くなるなんて
思いもしなかった。
今日という日はもう巡ってこないけど、
祖母とはまた巡り会えることを願って
一度もさよならなんて言葉はいわない。
「今日に、さよなら。ばあちゃん、またね」