佐倉光潤

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12/5/2023, 6:53:24 AM

「夢と現実」



  思ひつつ寝ればや人の見えつらむ

         夢と知りせば 覚めざらましを



高校の授業で習ったこの歌が忘れられない。

当時、後半部分で言われている

「夢と知っていたら目を覚まさなかったのに。」

という、この言葉に私は思いを馳せた。


今も昔も、人は眠れば夢を見るのだと。

目が覚め、それが夢の出来事だったとき。

人は夢に焦がれるもの。

夢という眩しいものに魅せられて、

現実という厳しい世界に寂しさを覚える。

時代が変わり、世界が変化していっても、

人が漠然と抱く寂しさには変わりがないのだと。

そんなことを思いながら、その後の授業中は

頭の中でずっとこの歌を口ずさんでいた。

12/4/2023, 10:00:14 AM

「さよならは言わないで」

言いたいことはありすぎた。

でも、言い残せる時間は残り少ない。

ごめんね、先に逝く僕を許してほしい。

僕のことを愛してくれて、ありがとう。

君の心に生き続けたいから、さよならは言わない。

「…ずっとずっと、大好きだよ」

12/2/2023, 10:18:10 AM

「光と闇の狭間で」

君が幸せでいてくれたらと願う僕と、

君もここまで堕ちてくればいいのにと乞う僕がいる。

この天秤は今はどっちにも振り切れていない。

振り切ってしまえば楽かもしれないけど、

振り切れないままでいたい気もする。

だって、この狭間にいる限り君を愛し続けられる。

12/1/2023, 11:41:52 AM

「距離」

実家の大掃除をしたら中学の卒業アルバムがでてきた。

思い出すのは、初恋のあのひとのこと。

誰にでも優しくて、正義感あふれる人だった。

いつも教室の真ん中で人に囲まれてるのに、

端っこで苦しんでる人をひとりにしない人。

教室の隅で苦しんでた私の心を助けてくれた人。

好きだと言えずに、ただただ目で追ってた。

あなたの影に触れるだけで幸せだった。



卒業アルバムのホコリを払い、ページをめくる。

卒業アルバムの最後のページのフリーページに、

みんなで言葉を寄せ書きし合うのが恒例だった。

きっと、私のフリーページに寄せ書きしてくれた

同級生の数は他の誰よりも少なかった。

でも、この寄せ書きページに私は感謝してる。

当時、誰にも書いてと頼めずにいた私のところに

初恋の彼が来てくれて、

「俺、字超でかいけど書いてもいい?」

頷くと、彼はニカッと歯を見せて笑った。

油性マジックがキュッキュッと音を立てて、

私の寄せ書きページを埋めていく。

『俺のこと、さん付けで呼ぶの君くらいだけど、なんかこそばゆくて嬉しかった!!高校でも元気でな!!!』

彼は宣言通り超がつく大きな文字で私のフリーページを

ひとりで埋め尽くしてくれた。





私は少しだけ薄れてるその字をなぞり、鼻歌を歌った。

「あの頃の生き方を、あなたは忘れないで

          あなたは、私の、青春そのもの」

11/30/2023, 11:56:41 AM

「泣かないで」

やまない雨はないから、いつかこの涙も枯れるはず。

願わくば、いつかじゃなくて今枯れてほしい。

今すぐに涙を流した痕跡全て消し去ってほしい。

そしたら、あなたに言ってあげるの。

「私なら大丈夫」って、笑顔で言ってやる。

でも、現実は涙でグシャグシャの顔だから。

泣きながら「大丈夫」と言ってもカッコ悪いだけだった。

大丈夫、大丈夫だから、優しいあなたとの思い出で

私は生きていけるから大丈夫。


お願い、最後にあなたに見せる顔は笑顔がいいの。

だから、今だけでいい。出てくるな、涙。

困らせたくないの、最後まで笑っていたいの。

あなたにも、笑っててほしいの。

「…昔も今も、これからも、、、大好きよ」

そういって私は泣きながら笑ってみせた。

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