NoName

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2/12/2026, 3:53:33 PM

 彼女はよく好きだと伝えてくれる。
目が合ったとき、他愛のない話をしているとき、呼び掛けに答えたとき。ふとした日常の中で言葉の花を手向けてくれるのだ。
曰く、
「美しくて難解な言葉を綴るのも好きですけれど、真っ直ぐな好意は飾らずに何度でも伝えたいの」

 私は自分の気持ちを伝えるのがとても怖い。
家族であっても恋人であっても、意味が歪に捻じ曲げられて届くかもしれないのが酷く恐ろしいのだ。

 初めて口にした「好き」のふた文字はみっともなく震えて消えそうな響きだったと思う。
告白でもない、改めて伝えるシンプルな想いのくせして何をこんなに怯えているのか。

彼女がくすくすと笑っている。変だった?声が裏返ってた?
彼女は羞恥と恐怖でくらくらする私の顔を掬い上げて言った。

「いつもカッコつけな、好きな女の子から素敵な言葉を貰えたんですもの!!幸せで笑いが止まらなくて困っちゃうわ!!」