#日差し
朝起きるとカーテンの隙間から日差しが差し込んでいる。
この光を浴びると目がぱっちりと覚めて、さて今日は何をしようかな。と考える。
やらなければならない事を終わらせて、まだ日差しが差し込む時間なら、窓辺に座椅子を持っていき、本を積み、コーヒーを準備する。軽食か、個包装のお菓子もあると尚良いな。
さぁ、久しぶりの休日だ。
残りわずかでも最後まで楽しもうか。
#窓越しに見えるのは
なに黄昏てんだよ。
なんて茶化そうとしたお前の顔は随分と苦しそうで、窓に反射したその顔を見て俺は内心唇の端を吊り上げる。
きっとお前は、俺が窓から最近よく名前を口にするようになった女を見ている、と思っているんだろうけど、本当に俺が見ているのはお前だけなんだよ。
いい加減気付け、ばーか。
まぁ、気付けねぇのも仕方ねぇけどさ。
#赤い糸
運命の赤い糸って本当にあるのかな。
そういった君はどこか上の空で、教室で黄昏ていた。
なに黄昏てんだよ。なんて茶化してみたものの、君の瞳は最近よく追っている人物から離れない。
なぁ、運命の赤い糸って、なんだろうな。
運命が赤い糸だと言うのなら、俺の心に芽生えたこの感情はなんなんだろうな。
#入道雲
僕の日常は毎日が雨模様。
生きてて良かった、なんて思った事は生まれてこの方覚えてる限りでは1度もない。
友達が出来てもいつの間にか嫌われる。
親には捨てられて、顔すら覚えてない。
毎日毎日死にたくて、だけど死ぬ勇気なんかなくて、ただ無気力に生きる。
こんな事ばかり考えてたらまた死にたくなってきた。
あぁ、今日も心の中には入道雲が立ち込めてきた。
#夏
夏が来ると毎年思い出すことがある。
そう言ったのは友人のA。
何何?暇を持て余していた俺はAのその話を聞くことにした。
いや、な?昔、池で溺れたことがあったんだよ俺。その時に助けてくれてのが誰だったかなってさ。
はあ?そんなの親とか救助のひととかじゃねぇの?
俺はそう言って、なんだと肩透かしを食らった気分だ。こいつの言う昔がどれほど前のことかは知らないが、きっとこいつを助けたと言うなら大人だろう。
しかしAは違うんだ、と言った。
いや、大人じゃなくて子供なんだ。これは確実。でも、助かったあと目を覚ましたらどこにもその子どもの姿は無くてさ。親とかに聞いても知らない、お前は多分運良く岸に辿り着いたんだろって。
おかしいよな。
お前の気の所為じゃねぇの?
いやぁ。それも考えたんだけどさ、約束を覚えてんだよな。その子と交わした、10年後に迎えに来るねって。約束。
それで、10年後っていうのがさ、今年、なんだ。
そうひとりごちるAの後ろにはナニカが立っていた。
――さあ、イキマショウ。ヤクソクノトキダヨ