「年が明けたな。今年の抱負は?」
「そうだなぁ……」
顎に手を当てて少し考える。
「まぁ……生き延びる。かな……?」
「おいおいやめろよ、そういうの」
「そうは言っても、切実な思いで強い決意だ」
「でもそう言うのって――所謂死亡フラグだぞ?」
すぐ隣に手榴弾が投げ込まれ爆破した。
命からがら逃げ出して、なんとか今日も生き延びた。
「今年どころか、今日を生き延びるのだって必死だよ」
戦場のど真ん中で呟く。
来年のことを言えば鬼が笑うって言うけど、来年まで生き延びられていたら、それは奇跡だ。
だから、今年の抱負は、生き延びる。これからもずっと、こんな日々が終わるまで心に抱き続ける願いだ。
『今年の抱負』
新年あけましておめでとうございます
本年もよろしくお願いいたします
そこで筆が止まる。
これ以上何を書けばいいんだ~!?
だから年賀状は嫌いなんだ! もう書くことなんてないよ! 特に職場の人なんて、社交辞令しかないじゃん。
もう書きたくない……。そうか、流行りの年賀状じまいをすればいいのか。「終わりにします」って書くか。……いいのかな? 急にそんなこと書いても。
結局悩みに悩んで、また年末ギリギリになって、無難なことだけ書いて投函する。毎年の繰り返し。
そして年が明けて、出してなかった人から年賀状が届いて、慌てて追加で書くまでがセット。
『新年』
カウントダウンが始まる。
隣にいる君に声を掛ける。「良いお年を!」
そして「ゼロ!」の合図と共に年が変わる。
続けて僕は言う。「あけましておめでとう! 今年もよろしくね」
『良いお年を』
夜空を見上げると、満天の星が僕らを見守っている。
まるで落ちてきそうなほどに雄大で、少し怖くもなる。
ふと振り返ると、君が星と同じくらい目を輝かせて、空を見上げている。
除夜の鐘が鳴り響く。
時計の針が0時を指す。
それと同時に、見上げていた夜空に花火が打ち上がる。
君がこちらを振り返って笑った。
「今年もよろしく」
『星に包まれて』
意識が薄れ、途切れていく。
周囲が何か騒いでいるような気がするけど、もうわからない。
たぶん、本当は大声で何か言い合っている。自分に声を掛けてくれている。
でも、もう何もわからない。
うるさいはずの現場で、それでも静かになっていく。全てが溶けていくように。
そうしてとうとう、意識を手放した。
『静かな終わり』