川柳えむ

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11/4/2025, 10:59:12 PM

 キンモクセイの独特な甘い香り。
 その香りに誘われるよう歩いていると、知らない喫茶店に辿り着いた。その名も『喫茶店キンモクセイ』。
 こんなところに喫茶店なんてあったっけ? まぁせっかくだし入ってみようかな。

「いらっしゃいませー」
 案内された席に座り、辺りを見回す。昔ながらの喫茶店といった雰囲気だ。懐かしさを感じる。居心地が良い。
「ご注文何にしますか? オススメは、この、キンモクセイの花びらがブレンドされた紅茶です」
「じゃあそれを」
 しばらくして紅茶が運ばれてきた。私を誘った甘い香りが鼻腔をくすぐる。紅茶を口にすると、秋の風で少し冷えた体を優しく包んでくれた。
「美味しいです」
「ありがとうございます。お好きですもんね、それ」
「え?」
 まるで私の好みを知っているかのような口ぶりだ。
「どうして……」
「だって、去年も頼んでましたよね。気に入ってもらえたようで何よりです」
 去年?
 私は去年もここに来ている? たしかに、この店に入った時に懐かしさを感じだ。それは、私がここに来たことがあるから?
 そんなことを考えていると、だんだん眠気がやって来た。それがまた心地良くて、ゆっくりと瞼が落ちていった。
「来年もまたお待ちしております」
 遠くで店員の声が聴こえた。

 ……いつの間にか眠っていたようだ。
 公園のベンチで目を覚ました。辺りには一面のキンモクセイ。
 キンモクセイ……何かあった気がする。この香りに包まれて、どこか、居心地の良い場所にいたような。
 夢でも見ていたのか。
 はっきりとは思い出せないが、キンモクセイが香る頃、またあの場所へ辿り着けたらいいなと思う。


『キンモクセイ』

11/3/2025, 10:45:07 PM

 行かないでと願ったのに、神様は聞き入れてくれなかった。どんなに望んでも、連れて行ってしまった。
 あの幾千の星の中で、君は輝いている。
 いくら伸ばしても届かないとわかっている。それでも、手を伸ばす。
 いつか君と逢えますように。


『行かないでと、願ったのに』

11/3/2025, 4:23:50 AM

 綺麗に飾っておきたいと、標本にして集めている。
 誰にも見せたくない。大事に隠しておきたい。
 たくさんの大切な人を、そのままの姿で。誰かを愛するたびに、こうやって飾ってきた。
 いつまでも一緒にいるから。愛してるよ。
 このコレクションが増えていくのが楽しみだ。


『秘密の標本』

11/2/2025, 9:00:11 AM

 寒い……。もう冬も近い……。
 布団から出たくない……。
 せめてあと五分……。

 そんなことをしているうちにこんな時間になりました。


『凍える朝』

10/31/2025, 10:32:46 PM

 光があるから影ができる。
 でも、影があるから光がわかる。


 真っ暗闇にいる私をそこから引き摺り出してくれたのは、あなたという一筋の光だった。
 光と影が一緒にいるなんて。そう思うこともあるけど。
 あなたが、私と一緒にいたい。と、そう言ってくれるから。
 私は、あなたの隣で、私でいられるんだ。


 あなたは私のことを光だと、自分は影でしかないと嘆くけど。
 違うんだよ。
 私にとっての光はあなただった。
 影のない人間なんていない。私だって影なんだ。
 それでも、あなたが隣にいるから。だから、私は、あなたにとっての光でいられる。
 私達は影であり、お互いにとっての光なんだ。


『光と影』

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