川柳えむ

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10/8/2025, 10:32:37 PM

 一目惚れだった。
 花に囲まれた君は大層美しかった。
 だから、君を手に入れたかった。
 君の為なら何でもできると思った。
 花が綻ぶように笑う君が見たかった。

 君は私を見て怯えたように言った。

「化け物」

 君は美しく笑う人で、いつも幸福でなければならなかった。
 そんな言葉を吐き出す君は、君じゃない。

 物言わぬ塊になっても、君は美しかった。
 そうして私は、ようやく君を手に入れた。


『愛する、それ故に』

10/7/2025, 10:42:55 PM

「あぁぁぁぁ…………っ!」
 思わず叫んでいた。
 こんな、悲しい、苦しいことがあってたまるかと。
 涙が溢れ、止まらない。

「図書館では静かに」
 司書に怒られた。
 でもしょうがないじゃない。
 この物語、本当に泣けるんだもん。


『静寂の中心で』

10/6/2025, 10:46:05 PM

 燃えるような紅葉にテンションが上がり、それを背景に写真を撮る。
 それをSNSにアップすると、すぐさまいいねやコメントが付いた。

『綺麗ですね〜』
『紅葉よりも○○ちゃんが綺麗』
『私も行ってみたい!』

 それと同時にアンチコメントも湧いてくる。

『自分見せたいだけじゃん』
『承認欲求の塊』
『見に行けない人のことも考えてください』

 あ~楽しい。

『嫉妬かわいそ』
『見苦しい』

 そしてコメント欄でレスバが始まる。
 それをニコニコと見ている。

 コメント欄もたくさん燃えて、今日も綺麗に紅葉が咲き誇る。


『燃える葉』

10/5/2025, 11:41:14 AM

 月が綺麗で、君を思い浮かべながら眺めていた。
 優しい光が、僕を包み込む。それはまるで君のようだなと思って。
 ねぇ、君は今どうしているかな?
 君のことを考えるだけで、僕は幸せだよ。
 上手く写らないけど、写真を撮って、君に送った。「月が綺麗ですね」って。


『moonlight』

10/5/2025, 1:07:10 AM

 今日だけ許して。また明日から頑張るから。
 そう思いながら。
 食べる。食べる。たくさん食べる。
 もうそれは満腹を超えるくらいに。

 嫌だ。
 もう食べたくないよ。無理に食べさせないで。
 今日だけでも、どうか許して。


『今日だけ許して』

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