川柳えむ

Open App
8/26/2025, 8:02:15 PM

 素足になって砂浜の上を駆ける。
 熱い砂に飛び上がり、笑い、そのまま海の中へと足を伸ばす。
 丁度よい水温は、火照った足の裏を、足首を、ふくらはぎを冷やしてくれる。

 気持ち良い。
 日射しは暑いが、このままぼーっとしていたい。

 もうすぐでこの休暇も終わる。
 また心を厚く装って、作り物の笑顔を浮かべる日々が始まる。
 素足のままではいられない。

 だから、終わりまで。もう少しだけ。
 何も装わず、このままで。


『素足のままで』

8/25/2025, 10:28:33 PM

 あと少し、もう少しなんだ。
 目の前に見えているのに届かない。
 もう一歩だけ、それで、辿り着くのに。
 もう、歩けない……。
 水が欲しい。オアシスは目の前にあるのに、届かない。
 もう一歩が、どうしても足りない。
 そのまま意識は遠退いて。
 オアシスが本当に存在していたのか、それとも蜃気楼だったのか。それすらもわからぬままに。


『もう一歩だけ、』

8/24/2025, 12:00:56 PM

 見知らぬ街に辿り着いた。
 やって来ようと思って来たわけじゃない。偶然だ。
 でも、見慣れない街は新鮮で、ちょっとそこのお店に入ってみようか。なんて思ったりして。

 ――そんな場合じゃないんですけど。
 通勤電車で寝過ごしちゃって、気付けば知らない駅にいて。でも、もうこうなったら、開き直りですよね……。


『見知らぬ街』

8/24/2025, 9:00:08 AM

 夜景を撮ろうと、高いビルの上でカメラを構えた。
 雨が降っていて、コンディションは最悪だが、これはこれで味があるというもの。
 シャッターを何度も押す。
 良い一枚が撮れたと思った瞬間、視界の先に一筋の稲妻が見えた。辺りが明るく照らされ、大きな音が響く。
 遠くで雷が鳴っていることは気付いていた。
 タイミングがあと少し違えば、稲妻が走る瞬間が捉えられたのに!
 その後、頑張ってその瞬間を撮ろうと待ってみたものの、全然タイミングが合わず。遠くの雷はいつしか消えていってしまったのだった……。


『遠雷』

8/23/2025, 5:39:19 AM

 深い闇の色をした海に、深夜、一人沈んでいく。
 どこまでも深く深く、奥底まで。
 水の中に、溶けていく。

 ――助けてくれ!
 慌てて飛び起きると、あの海と同じ色をした布団に、まるで小さな海のような水たまりができていた……。


『Midnight Blue』

Next