川柳えむ

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7/20/2025, 7:16:01 AM

 もっと高く。もっと遠くまで。
 飛べ!
 飛ばないと。飛ばないといけない。
 飛ばないと、間に合わない。
 急げ。急いで駆け上がれ。高く飛べ。速く。届くように。
 必死に飛んでいく。

「遅れましたぁー!!!!!!!!」
 ダッシュで、やっと約束の場所に辿り着いた。
 二時間遅れ。
 そこには、当然般若の顔をした友人が待っていた。


『飛べ』

7/18/2025, 10:40:59 PM

「この味がいいね」と平賀源内が言ったから七月十九日は土用の丑の日(ただし年によるし今年は二回ある)。


『special day』

7/18/2025, 6:33:41 AM

 そよそよと風が吹いて、木々が優しく揺れる。
 それに合わせ、木の影と、木の下にいた長いスカートを履いたお姉さんの影も揺らめいている。
 風情を感じる。爽やかな、良い景色だ。
 風が突然強くなった。
 木々はざわざわと激しい音を立て、大きく揺れた。お姉さんのスカートも大きく揺れた。
 輝く白が見えた。
 風と共に、風情とか感じてた気持ちはどこかへ飛んでいった。
 いや違うんです。事故です。これは事故です。
 でも……良い景色ですね、本当に。


『揺れる木陰』

7/16/2025, 10:59:21 AM

 薄ぼんやりとした、白んだ視界の中、誰かが手招きをしている。
 あー行かなきゃと思って、そちらへと歩き出す。
「やめときー」
 誰かの声が響いた。手招きが止まった。
 途端に、視界が黒くなる。
 誰かの舌打ちが聞こえて、はっと目が覚めた。

 やばい。死にかけてた。
 エアコンが壊れた部屋の中、暑さに気を失っていた。
 やっぱり扇風機と風鈴なんかじゃ、この暑さは誤魔化せない。
 慌てて冷蔵庫にあったスポーツドリンクを飲み、少し意識がはっきりしたところで、ふらつきながらも近くにある街の図書館まで逃げ出した。
 駄目だ。熱中症怖い。危険。命の危機。
 急いでエアコン修理の電話を掛ける。
 こうして、なんとか死を免れた。次からは気を付けようと心に誓った。


『真昼の夢』

7/16/2025, 4:42:38 AM

 昔からいつも一緒だったね。あなたとわたし。二人でいれば怖くなかった。
 趣味も合ったし、いろいろな空想をして遊んだ。あなたがパパ、私がママで、おままごともしたね。
 だんだんと時が経つにつれ、あなたはたくさんの別の人と一緒にいるようになった。
 おかしいよね? だって、私がいるのに。
 それは誰? 二人だけがいれば問題ないでしょ? なぜ他の人と一緒にいるの?
 でも、しょうがないか。この世界がそうできているなら。
 大丈夫。あなたを連れ去ろうとするなら、私が正しい世界を作ってあげる。
 そう。最初からそうしていれば良かったんだ。
 ここは二人だけの世界。
 あなたの為に作った世界。もう他の誰にも邪魔させない。


『二人だけの。』

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