川柳えむ

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7/9/2025, 8:28:38 AM

 その日、空は曇っていた。せっかくの海なのに、あまり良い景色ではないなと思った。
 でも、少し泣き出しそうな、これくらいの天気の方が丁度良かった。
 だって、もうわかっていたから。

「さよなら」

 別れを告げられたあの日。
 最後に見た海を、私はずっと忘れないと思った。

 思い出の浜辺で、私は一人佇んでいた。
 あの日とは違って、今日は夕陽が沈んでいくのがよく見える。

 何度も来た海だった。
 昔はそこに二人でいたはずだった。二人はそっと手を重ねていた。

 夕陽が沈み、夜の闇が訪れる。
 それでも、そのまま、動けずにいた。
 日が沈み切った海は、まるで全てを飲み込んでしまいそうな暗闇で。
 私自身も飲み込まれてしまうんじゃないかと思った。いっそ、本当に全て飲み込まれてしまったら、楽なのに。

 静かな海の上を、風が撫でるように流れていく。
 今一瞬、波が大きな音を立てて静寂を壊した。
 そしてまた、何事もなかったかのように、静かに暗闇に溶けていった。


『あの日の景色』

7/7/2025, 11:00:26 PM

 願い事を短冊に認める。
 切実な願いを。

 空の上で、織姫と彦星がその願い事を見ていた。
「切実ね……」
「こんな願いでいいのかな」
「でも、この願いを叶えるには、やっぱり本人の努力が必要ね」
 頑張って。と、織姫は願い事の主に願った。

[みんなが♡を押してくれますように]


『願い事』

7/6/2025, 10:46:31 PM

 スイーツ(笑)
 という、昔のスラングをつい思い出してしまった……。

 簡単に泣けるような大恋愛の甘い物語は書けないけど、この包みこんでくれるような青く広い空に、恋にも似た憧れを抱く物語なら書けるかもしれない。
 澄んだ青空を見上げ、想いを飛ばした。


『空恋』

7/6/2025, 6:21:34 AM

 海の近くに家を買った。
 波の音がよく聞こえる。夜は、それが心地良く、深い眠りへと誘ってくれる。
 今夜も波音がする。
 窓の向こうには、漆黒に広がる深淵の海が見える。
 オイデ
 ベッドの上で耳を澄ませていると、ザー……ザザーッ……と寄せては返す波音に混じり、何か別の音が聴こえてきた。
 オイデ
 でも、それが何かはよくわからない。
 コチラヘ
 ただ、今日も深い眠りに就けそうだと感じた。


『波音に耳を澄ませて』

7/5/2025, 7:32:25 AM

 青一色。キャンバスには、ただそれだけが描かれていた。
 ――海? それとも空?
「風です」
 そう答えたのは、美術部で俺が教えている生徒だった。
 ――風? この青が?
「そうなのか。斬新だなぁ」
 一応、褒めたつもりだ。
 生徒は複雑そうな表情で微笑んだ。
「風って冷たいじゃないですか。……まるで、全ての悲しみを運んでくるみたいに」
 わかるような、わからないような。
 でも――。
「おまえのその独特な感性、嫌いじゃないぞ」
「また、微妙な褒め方して」
 今度は楽しそうに笑ってくれた。

 卒業してから暫くして、その生徒と連絡が取れなくなったと、仲の良かった子が教えてくれた。
 家の人ですら、あいつがどこへ行ったのかわからないようで、捜索願まで出されていた。
 あいつに、この世界は一体どう見えていたんだろうか?
 風が冷たく、悲しいものだと感じるおまえにとって、もしかしたらこの世界は、ずっと辛い場所だったのかもしれない。
 でも、キャンバスに向かって一心不乱に描き続けるおまえの後ろ姿は、本当にかっこよかったんだって、もしまた会えた時には伝えたい。
 今、目の前にある青一色のキャンバスを見て、そんなことを思う。


『青い風』

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