もういい加減に手放さないと、とは思っている。
長く手にし過ぎた。執着と言ってもいいくらいに。
随分ボロボロになってしまった。もう使い物にならない。
もう諦めるしかないんだ。悲しいけれど。ここでお別れだ。
そうして大切なものを手放した。
ようやく掃除が終わった。すっきり。
『手放す勇気』
停電が起きた。
物置から懐中電灯を手探りで見つけ、急いでスイッチを入れる。
灯りの先に何かが反射して、どうしようもない程の暗闇を強い光が切り裂いた。
爺ちゃんの禿げ上がった頭だった。
『光輝け、暗闇で』
君がいないと苦しい。
君は僕にとって酸素のようで、傍にいないと息ができない。
だから、どうか、ずっと傍にいて。
・・・・・・
今日もまた一つ。短いながらも物語が生まれた。
こんな私にとって、創作とは、そう、まるで酸素のようだ。生きるのに必要不可欠。
普通の日常を送るだけでは、息ができない。
そうして私は今日も物語を綴っている。
『酸素』
意識を失った瞬間は覚えていない。
気付いたら、この膨大な記憶の海の中を泳いでいた。
なんとなくわかった。これが走馬灯だと。
流れる映像はどんどん古く遡っていく。
でも、映る景色はどれもこれもしょうもない、価値のないものしかなかった。
あぁ、自分の人生こんなもんか。
死んで良かったのかも、悪かったのかもわからない。これから先、生きていようが、死のうが、どちらにせよしょうもないことしかない気がする。
記憶を遡り続け、とうとうこの人生の始まりまで辿り着いた。
そこに、記憶の海に埋もれていた、自分が誕生した時の親の嬉しそうな表情が映り、その瞬間、初めて後悔をしたのだ。
『記憶の海』
ただ君だけがいればいい。
つまらないと思っていた人生に、君という彩りが添えられて、世界はそれだけで輝いていた。
瞳に映る全ての物が、初めてこんなに鮮やかに映ったんだ。
その中心で、君は何よりも輝いていた。
君が傍にいる時間も、姿が見えない時間ですら、君が愛おしくて。常に君のことを考えている。
自分がこんな人間になるなんて、思ってもみなかった。
これが愛でなければ、何だと言うのだろうか。
何よりも、誰よりも。心から、愛しているんだ。
うちの猫、かわいー!!
『ただ君だけ』