川柳えむ

Open App
5/17/2025, 1:03:38 AM

 もういい加減に手放さないと、とは思っている。
 長く手にし過ぎた。執着と言ってもいいくらいに。
 随分ボロボロになってしまった。もう使い物にならない。
 もう諦めるしかないんだ。悲しいけれど。ここでお別れだ。
 そうして大切なものを手放した。

 ようやく掃除が終わった。すっきり。


『手放す勇気』

5/15/2025, 10:49:24 PM

 停電が起きた。
 物置から懐中電灯を手探りで見つけ、急いでスイッチを入れる。
 灯りの先に何かが反射して、どうしようもない程の暗闇を強い光が切り裂いた。
 爺ちゃんの禿げ上がった頭だった。


『光輝け、暗闇で』

5/14/2025, 10:28:51 PM

 君がいないと苦しい。
 君は僕にとって酸素のようで、傍にいないと息ができない。
 だから、どうか、ずっと傍にいて。

・・・・・・

 今日もまた一つ。短いながらも物語が生まれた。
 こんな私にとって、創作とは、そう、まるで酸素のようだ。生きるのに必要不可欠。
 普通の日常を送るだけでは、息ができない。
 そうして私は今日も物語を綴っている。


『酸素』

5/13/2025, 10:47:10 PM

 意識を失った瞬間は覚えていない。
 気付いたら、この膨大な記憶の海の中を泳いでいた。
 なんとなくわかった。これが走馬灯だと。
 流れる映像はどんどん古く遡っていく。
 でも、映る景色はどれもこれもしょうもない、価値のないものしかなかった。
 あぁ、自分の人生こんなもんか。
 死んで良かったのかも、悪かったのかもわからない。これから先、生きていようが、死のうが、どちらにせよしょうもないことしかない気がする。
 記憶を遡り続け、とうとうこの人生の始まりまで辿り着いた。
 そこに、記憶の海に埋もれていた、自分が誕生した時の親の嬉しそうな表情が映り、その瞬間、初めて後悔をしたのだ。


『記憶の海』

5/12/2025, 10:44:07 PM

 ただ君だけがいればいい。
 つまらないと思っていた人生に、君という彩りが添えられて、世界はそれだけで輝いていた。
 瞳に映る全ての物が、初めてこんなに鮮やかに映ったんだ。
 その中心で、君は何よりも輝いていた。
 君が傍にいる時間も、姿が見えない時間ですら、君が愛おしくて。常に君のことを考えている。
 自分がこんな人間になるなんて、思ってもみなかった。
 これが愛でなければ、何だと言うのだろうか。

 何よりも、誰よりも。心から、愛しているんだ。
 うちの猫、かわいー!!


『ただ君だけ』

Next