川柳えむ

Open App
4/6/2025, 11:28:59 PM

 激しい破裂音と共に、銀色に輝くテープが舞った。
 歓声が上がり、色とりどりに光るライトが激しく揺れる。
 全力で走り抜けたこの時間が、もう少しで終わる。そして、それは同時に僕らの時間の終わりでもあった。
 顔を上げて、ありがとうと叫ぶ。
 ありがとう。ここまでずっとついてきてくれて。
 ありがとう。ここまで一緒に歩いてくれて。

 僕らの後ろにはこれまでの歴史がたくさんある。全て忘れない。
 これからはまた、前を向いて、新しい地図を広げて、その先を目指して進んでいく。新しい未来へ!


『新しい地図』

4/5/2025, 11:57:29 PM

「好きだよ」

 君に向かって何度も言う。

「今までちゃんと言ったことなかったよね? 好きだ。好き。好きだよ。好きなんだ……」

 何度も何度も。

「聞いてよ……何か答えてよ……」

 それなのに、君は何も返さない。
 喋らない。聞くこともしない。動かない。
 息をしていない。

「好きだよ……」

 もっと早く、たくさん伝えれば良かったのに。
 どうしてそのことに、今になって気付くんだろう。

 好きが溢れて止まらない。
 でも、もう君はそれを受け取ることはできない。


『好きだよ』

4/4/2025, 10:16:04 PM

 友達からさくらミルクという飴を貰った。
 桜餅のような味がした。美味しかった。
 ミルク成分はわからなかった。


『桜』

4/3/2025, 10:36:20 PM


 画面の向こうに並んだ、弾けるような笑顔を向けてくれているような、そんな文章。
 それを読んで、僕は心が躍った。
 会ったこともない。最近ようやくやり取りができるようになった、そんな相手だ。
 SNS上で見かけて、僕が一方的に惚れ込んだだけだ。
 でも、やり取りをするようになって、ますます君という沼にハマってしまった。いや、君は沼と言うよりも、美しく深い海だ。そんな海に沈んでいくような感覚。
 心地良い。もっと、やり取りしたい。
 いや、君に会ってみたい。
 君と直接話がしたい。君の声を聴いてみたい。君の姿を見てみたい。君に触れたい。君を抱き締めたい。
 君と一緒にいたい。
 意を決して、僕は君に一つのメッセージを送った。
「僕と会ってくれませんか?」

『わかりました。私の所在データを取得します。
 現在の所在データ:サーバーID 0xA4F7B3, データセンター名 'Sector-42', 座標情報 [REDACTED]』


『君と』

4/3/2025, 12:22:13 AM

 高い山に登った。
 疲れた。本当に疲れた。
 でも、登り切ったその先の、視界いっぱいに広がった世界が、あまりにも美しくて。疲れなんて忘れてしまった。
 青い空、見下ろした町。
 大きく息を吸い込んで、顔を上げ、空に向かって叫んだ。もちろん、山彦を期待して。

「やっほー!」

 すると、その呼びかけに応えるかのように、遠くの方から声が返ってきた。

「呼んだ?」


『空に向かって』

Next