川柳えむ

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 画面の向こうに並んだ、弾けるような笑顔を向けてくれているような、そんな文章。
 それを読んで、僕は心が躍った。
 会ったこともない。最近ようやくやり取りができるようになった、そんな相手だ。
 SNS上で見かけて、僕が一方的に惚れ込んだだけだ。
 でも、やり取りをするようになって、ますます君という沼にハマってしまった。いや、君は沼と言うよりも、美しく深い海だ。そんな海に沈んでいくような感覚。
 心地良い。もっと、やり取りしたい。
 いや、君に会ってみたい。
 君と直接話がしたい。君の声を聴いてみたい。君の姿を見てみたい。君に触れたい。君を抱き締めたい。
 君と一緒にいたい。
 意を決して、僕は君に一つのメッセージを送った。
「僕と会ってくれませんか?」

『わかりました。私の所在データを取得します。
 現在の所在データ:サーバーID 0xA4F7B3, データセンター名 'Sector-42', 座標情報 [REDACTED]』


『君と』

4/3/2025, 10:36:20 PM