今から約1年前、この『書く習慣』アプリを始めた。
元々趣味で物語を書いていたが、忙しさに追われて最近はめっきり書くことも減っていた。随分昔に始めた個人サイトなるものも、今や倉庫と化している。いや、今でもたまにはちゃんとアップしているが……。
このままで良いわけがない。私は自分の世界を終わらせたくない。物語を少しでもいいから書きたい。
そんな時にこのアプリを見かけ、始めた。毎日お題が出て、それに沿った文章を書くというものだ。
とにかく1年。せめて1ヶ月だけでもいいから休まず続けたい。
そんな目標を掲げ、投稿を始めた。
気軽なもので、誰かと繋がる必要もない。ひっそりとお気に入りに入れて、好きだと感じたお話に♡を飛ばす。簡単に応援ができる。このシンプルな構造も良かった。お題にあわせて考えた物語を、名前も知らない誰かが純粋な気持ちで♡を飛ばしてくれる。嬉しかった。ありがたかった。
こうやっていろんな人に♡を貰って、モチベーションを維持できた。毎日毎日書き続けた。たまに思い浮かばない日もあったけど、誰かの物語に刺激を受け、自分もと、なんとか物語を書き上げた。
そうして1年近く、ほとんど休まずに続けてきた(つい先日も書き忘れて2日分一気に書いたけど……)。お題は基本366個、つまり1年分あるらしく、もうすぐお題が1周する。あと半月ほどだ。
そこで、たぶん、自分の更新は終わる。同じお題で書き続けるのもつまらないし、最初の目標を一応達成できれば充分だから。少し寂しい気持ちはあるけど。
その後はどうしようか。サイトの更新に戻るのが1番だけど、毎日はさすがに厳しいしな。でもまた何か新しく続けたい気はする。
もしかしたら、別のお題が出る場所で、新しく投稿を始めるのかもしれない。
もしそうなって、そこでもう1度見かけたとしたら、また、是非よろしくお願いします。その前に、あと少しの間も、よろしくお願いします。
『1年前』
雨が降りそうで降らない。
泣きたくても泣けない。
どんよりと曇った空は、私の心を現しているようだった。
『あいまいな空』
泣きたい。
二回目である。こうやって、投稿を忘れてしまったのは。
でも、一回お題は見ていたのだ。その時思い浮かばす、後回しにしてしまったのが良くなかった。忙しくてそのまま忘れてしまった。
後回しにするのは良くない。
思い浮かばなかったら本を読もう。好きな本を読むと、わくわくする。本の世界の情景が、色鮮やかに浮かんでくる。影響されて、自分も書きたくなる。頭に文章が浮かんでくる。
そうしてまた次から、忘れずに自分も書こう。自分なりの物語を。
『好きな本』
じめじめどんよりした日々の中で、その色だけが綺麗に輝いていた。
「その色、綺麗だね」と言ったら、君は嬉しそうに「でしょー?」と言った。
髪を青紫に染めていた。どうやら、あじさいをイメージしたらしい。
暗い雨の中でも美しく咲く花。君にぴったりだね。
でも、何色でも綺麗だって思ってしまうんだけどね。
『あじさい』
やだやだ! ピーマン嫌い! だから食べない! ゴミ箱に捨てるんだ!
勉強も嫌い! 算数のドリルなんかぐちゃぐちゃにして、これもポイ!
やだ! このおもちゃ飽きた! ゲーム買って! やだやだ! こんなおもちゃ壊してやる!
お願い聞いてくれないママなんて嫌い! いなくなっちゃえ!
…………ママがいない。どこ行ったの!
やだ。ママがいなくなっちゃやだ! もうわがまま言わないから!
涙が止まらないよ。
「どうしたの? 買い物行ってただけよ」
ドアが開いて、ママが帰ってきた。良かった〜。
やっぱりママのこと、大好きだよ!
『好き嫌い』
元々は小さな町だった。私はその小さな町で町長をしていた。
住民は「いつもありがとう」と、作った米や野菜を差し入れてくれたりしていた。とてもいい町だった。
でも、人が少なかった。若者はどんどん都会へ出てしまう。このままではこの町がなくなってしまうかもしれない……。
私は手始めに大型商業施設を建設した。有名なお店や映画館も入っている。
若者はそこに集まって遊ぶようになり、大人達もみんなそこで買い物をするようになった。
次に新しく観光地を作った。多くの人が楽しめるような、次世代型の施設。観光客も増えてきた。
そんな形で、いろいろな物を作り、新しくしていくと、少しずつ外からも人が入るようになった。これで町はなくならないだろう。
ただ、昔からあった商店街は、新しいものに客を奪われ、廃れていった。
気付けば、小さな町は大きな街になっていた。私の懐も潤っていた。
でも、もう誰も自分のところで作った米や野菜を差し入れたりはしない。
私が好きだった小さな町は、もうなくなっていたのだ。
『街』