川柳えむ

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6/12/2024, 10:32:55 PM

 やだやだ! ピーマン嫌い! だから食べない! ゴミ箱に捨てるんだ!
 勉強も嫌い! 算数のドリルなんかぐちゃぐちゃにして、これもポイ!
 やだ! このおもちゃ飽きた! ゲーム買って! やだやだ! こんなおもちゃ壊してやる!
 お願い聞いてくれないママなんて嫌い! いなくなっちゃえ!

 …………ママがいない。どこ行ったの! 
やだ。ママがいなくなっちゃやだ! もうわがまま言わないから!
 涙が止まらないよ。

「どうしたの? 買い物行ってただけよ」
 ドアが開いて、ママが帰ってきた。良かった〜。
 やっぱりママのこと、大好きだよ!


『好き嫌い』

6/11/2024, 10:34:41 PM

 元々は小さな町だった。私はその小さな町で町長をしていた。
 住民は「いつもありがとう」と、作った米や野菜を差し入れてくれたりしていた。とてもいい町だった。
 でも、人が少なかった。若者はどんどん都会へ出てしまう。このままではこの町がなくなってしまうかもしれない……。
 私は手始めに大型商業施設を建設した。有名なお店や映画館も入っている。
 若者はそこに集まって遊ぶようになり、大人達もみんなそこで買い物をするようになった。
 次に新しく観光地を作った。多くの人が楽しめるような、次世代型の施設。観光客も増えてきた。
 そんな形で、いろいろな物を作り、新しくしていくと、少しずつ外からも人が入るようになった。これで町はなくならないだろう。
 ただ、昔からあった商店街は、新しいものに客を奪われ、廃れていった。
 気付けば、小さな町は大きな街になっていた。私の懐も潤っていた。
 でも、もう誰も自分のところで作った米や野菜を差し入れたりはしない。
 私が好きだった小さな町は、もうなくなっていたのだ。


『街』

6/10/2024, 10:41:24 PM

 私に不思議な力があれば。たとえば、癒しの魔法や、時を戻せる力があれば。
 そしたら、どうにかしてあなたを助けに行くのに。


『やりたいこと』

6/9/2024, 8:56:42 PM

 朝日の温もりを感じて、布団の中で大きく伸びをした。
 温かい光が降り注ぐ。良い天気だなぁ……。もう一眠りしたい……。

 …………明るいな?

 慌てて飛び起きた。

 今何時!? うわああぁぁぁぁ!! 家出る時間過ぎてる!? 道理で明るいと思ったんだよ!!

 急いで支度を済ませて家を飛び出る。
 だんだんと高い位置に変わっていく朝日が、焦る私を照り付けて暑かった。


『朝日の温もり』

6/9/2024, 6:52:46 AM

 ここが人生の分岐点だとして、どちらの道に行けば最善なのか、今は考えられないでいる。
 いくつにも分かれている道の真ん中で、ただ動けずにじっと蹲っている。
 ここにいたって、どうしようもないのに。もうどうしようもないって、分かっているのに。


『岐路』

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