やだやだ! ピーマン嫌い! だから食べない! ゴミ箱に捨てるんだ!
勉強も嫌い! 算数のドリルなんかぐちゃぐちゃにして、これもポイ!
やだ! このおもちゃ飽きた! ゲーム買って! やだやだ! こんなおもちゃ壊してやる!
お願い聞いてくれないママなんて嫌い! いなくなっちゃえ!
…………ママがいない。どこ行ったの!
やだ。ママがいなくなっちゃやだ! もうわがまま言わないから!
涙が止まらないよ。
「どうしたの? 買い物行ってただけよ」
ドアが開いて、ママが帰ってきた。良かった〜。
やっぱりママのこと、大好きだよ!
『好き嫌い』
元々は小さな町だった。私はその小さな町で町長をしていた。
住民は「いつもありがとう」と、作った米や野菜を差し入れてくれたりしていた。とてもいい町だった。
でも、人が少なかった。若者はどんどん都会へ出てしまう。このままではこの町がなくなってしまうかもしれない……。
私は手始めに大型商業施設を建設した。有名なお店や映画館も入っている。
若者はそこに集まって遊ぶようになり、大人達もみんなそこで買い物をするようになった。
次に新しく観光地を作った。多くの人が楽しめるような、次世代型の施設。観光客も増えてきた。
そんな形で、いろいろな物を作り、新しくしていくと、少しずつ外からも人が入るようになった。これで町はなくならないだろう。
ただ、昔からあった商店街は、新しいものに客を奪われ、廃れていった。
気付けば、小さな町は大きな街になっていた。私の懐も潤っていた。
でも、もう誰も自分のところで作った米や野菜を差し入れたりはしない。
私が好きだった小さな町は、もうなくなっていたのだ。
『街』
私に不思議な力があれば。たとえば、癒しの魔法や、時を戻せる力があれば。
そしたら、どうにかしてあなたを助けに行くのに。
『やりたいこと』
朝日の温もりを感じて、布団の中で大きく伸びをした。
温かい光が降り注ぐ。良い天気だなぁ……。もう一眠りしたい……。
…………明るいな?
慌てて飛び起きた。
今何時!? うわああぁぁぁぁ!! 家出る時間過ぎてる!? 道理で明るいと思ったんだよ!!
急いで支度を済ませて家を飛び出る。
だんだんと高い位置に変わっていく朝日が、焦る私を照り付けて暑かった。
『朝日の温もり』
ここが人生の分岐点だとして、どちらの道に行けば最善なのか、今は考えられないでいる。
いくつにも分かれている道の真ん中で、ただ動けずにじっと蹲っている。
ここにいたって、どうしようもないのに。もうどうしようもないって、分かっているのに。
『岐路』