川柳えむ

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4/23/2024, 11:31:46 AM

 今日は朝からなんだかもやもやしている。なんとなくこれかもしれないという理由はあるが、はっきりとそれが原因だとも言い切れない。
 曇りの空に、更に霧までかかっている。そんな気分。
 でも、そんな日はそんな心を逆に楽しむのだ。
 思い切り浸る音楽を聴いて、無駄に暗い妄想でもしてみる。久々の厨二病全開である。
 天気だって毎日違うんだ。こんな日があったっていい。


『今日の心模様』

4/22/2024, 10:53:35 PM

 間違いだと理解っていても、愛さずにはいられなかった。

 私と貴女は敵対している種族だった。
 初めて会った貴女は薄汚れた奴隷だった。そして、逃げて辿り着いた先がここだったようだ。
 私には仕える主人がいた。
 主人は、気まぐれか、貴女を拾った。まるで捨てられた動物を拾うかのような、そんな扱いで。
 正直、敵対している相手だし、そもそもこんな薄汚れた娘を拾うなんて、理解ができなかった。
 でも、きっと主人も彼女にどこか惹かれる部分があったのだろう。彼女を拾い、信頼できる人の力を借り、匿った。
 この気まぐれがいつまで続くのだろうと思っていた。どうせそのうち飽きる。彼女に様々な物を与え、様々なことを教えるのは無駄に感じていた。彼女は申し訳なさそうにしていた。
 しかし、時折見せる屈託のない笑顔に、いつしか惹かれていった。温かい。心が溶かされていく……。そう感じた。

 彼女を愛することは間違いだと理解っていた。
 きっと、主人も、何も言わないが彼女を愛している。
 そもそも私達は本来敵対している相手なのだ。たまたま彼女がここに来ただけで、本当は別の世界の人間だ。
 愛してはいけない。
 それでも――。
 たとえ間違いだったとしても、愛さずにいられなかった。
 この間違いが火種となって、いつか大きな炎に変わり、私を燃え尽くすことになるとしても。私は貴女を愛している。


『たとえ間違いだったとしても』

4/21/2024, 10:46:10 PM

 雫と聞くとどこか美しいイメージがある。
 でも、たくさんの雫が集まると雨になる。それはさながらキングス○イムのように。つまり、雫はス○イムである。美しいというよりはかわいいだ。
 ……いや、なんでもない。
 たくさんの雫が集まると雨になる。今日の天気のように。
 雨も悪くはないけど、やっぱり晴れが好きなんだよね。
 明日は天気になぁれ。


『雫』

4/21/2024, 7:02:29 AM

 何もいらないというよりも、そもそも何も持っていない。
 何かを手にしたらどう変わってしまうのか、想像もできない。
 きっとこのまま何も手にすることはない。それで構わない。
 何も持っていないからこそ、何でもできる。
 僕は無敵だ。
 そうして今日も、ギリギリを生きていく。


『何もいらない』

4/19/2024, 10:43:04 PM

 いかにも怪しい骨董屋で、その水晶玉を見つけた。
 友達に連れられて入っただけで、正直店に入るのも嫌だったし、絶対に何も買わないと決めていたのに。
 その水晶玉はどの品物よりもきらきらと輝いていて、他の品物はまるで脇役のように見えた。悪く言えば、浮いている。そんな風に感じた。

「その水晶玉は未来が見えるという話ですよ」

 店の奥からお婆さんが出てきて、そんなことを言い出した。
「えー? 未来が見れる水晶!? すごいじゃん! 買ってみたら? 見惚れてたみたいだし」
 友達が気軽に勧めてくる。
 たしかに、見惚れてたけど。綺麗だなって思ったけど。金額見えてる?
「実は品物がなかなか売れなくて、そろそろこのお店も閉めようと思っていたの。もし良ければ安くしますよ」
 うぅ〜……それなら?
「それに、私には何も見えなくて。もうこんな歳ですしねぇ」
 それって単純にこの水晶玉が偽物なのでは? そもそも本当に未来が見られるなんて、そんな夢のような話があるわけない。
 でも、その水晶玉があまりにも綺麗で――気付いたら手元にあった。

「買ってしまった……」
 家に帰り、とりあえず机の上に置いてみる。
 水晶玉は一層きらきらと輝いている。
 なんだかんだで、あまり後悔はしていなかった。
「未来なんて本当に見えるのかなぁ」
 もしも本当に未来が見られるとしたら。私は、どんな生活をしているだろう?
 素敵な人と出逢って、郊外に赤い屋根のお家を買って、犬や猫と一緒に暮らしたい……。そんな様子が見られたらいいなぁ〜。
 なんて、そんなことを考えながら、水晶玉を覗いてみた。少し期待しながら。
 水晶玉には何も映らなかった。
「……って、そりゃそうだよねぇ」
 当たり前である。そんな上手い話があるはずない。この世には魔法なんて存在しない。
 少し残念に思いながらも、インテリアとして部屋に飾っておくことにした。

 でもそれから暫くして、映らないのは正しかったのだと実感した。
 私も、お婆さんも、きっと、誰が見ても。未来は映らなかった。


『もしも未来を見れるなら』

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