川柳えむ

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12/31/2023, 2:03:21 PM

 正直まだ新年を迎える準備なんてできていない。
 ごめんなさい。年賀状すらできてない。かなりやばい。
 大掃除だってまだ途中で……。
 今年暖かかったせいか、まだ感覚が一ヶ月くらいずれてるんです。
 でも時間は待ってくれない。
 年末の特別番組が始まっている。もう年越しそばも食べちゃった。
 終わる。今年が終わる。
 あぁーあと一時間もない……。
 観念して言っておくか。
「良いお年を!」


『良いお年を』

12/30/2023, 11:08:35 PM

 夏まで何をしていたのかはよく覚えていない。
 夏、このアプリを始めた。
 みんなに♡を貰った。
 みんなの投稿を読んだ。
 面白い作品に楽しい気持ちと悔しい気持ちが混ざり合った。
 たくさんのいろんな面白い作品が書きたいと思った。
 だからとにかく毎日投稿を続けてみようと頑張った。
 ちゃんと休まず続けてこられた。
 スマホが壊れた。
 引き継ぎ設定をしていなかったからアカウントが使えなくなった。
 泣いた。
 だからといって書くことを諦めたくはなかった。
 もう一度作り直した。
 また1から始めてみた。
 みんなに♡を貰った。
 毎日毎日頑張った。
 これからも頑張る。
 いつも読んでくれてありがとうございます。
 来年もよろしくお願いします。
 良いお年を!


『1年間を振り返る』

12/30/2023, 5:55:06 AM

 こたつに入り、みかんを剥く。
 向かいでは彼女がみかんを横一列に並べている。
「何やってるの」
 そう尋ねると、彼女はにやりと笑った。
「問題。みかんを並び替えてできる甘いものって何でしょう?」
「……甘味?」
「正解!」
「甘いものが食べたいの?」
「正解! 甘味処とか、行きたいな~」
「甘味処って、本当はあまみどころって読むんだよ」
「えっ!? 知らなかった!」
「じゃあ甘いもの食べますかー」
 こたつから立ち上がり、剥いたみかんを彼女の口に突っ込んだ。
「このみかん甘い!」
 今度はこちらから彼女に問いかける。
「問題。みかんを並び替えてできる家って何でしょう?」
「……民家?」
「正解! 甘味処じゃなくて、民家――家であんみつとかどうですか? 作るよ」
「あんみつ! 食べるー!」
 みかんを手に持って、彼女は嬉しそうに飛び上がった。


『みかん』

12/29/2023, 12:48:26 AM

 子供の頃は、夏に次いでこの長い休みが楽しみだった。
 祖父母の家に行って、餅をついて、親戚が集まって、おせちを食べて、それでお年玉を貰って、遊んで。
 大人になってもこの休みは楽しみだ。単純に長い休みだからね。
 きっと誰かの家に嫁入りとかしたら嫌いになるんだろうけど、そういうのもなく好き勝手に生きている。もう親も親戚も何も言わない。
 でも、帰省を楽しみにしてくれている。
 私も帰省は楽しみだよ。実家の猫に会えるしね。あとやっぱり、親の顔も見たい。
 そんな感じで今年の冬休みも帰省します。


『冬休み』

12/28/2023, 4:23:55 AM

 道端に手袋が片方落ちている。
 ――なんでこんなところに?
 ふと、考えてみる。

 母に抱っこされた子供。嵌めていた手袋をもう片方の手で引っ張って脱いでしまう。
 それを握ったまま手を振り上げたりしていたが、ふと手から取り落としてしまう。
 母は気付かない。
 そうして、手袋は道端に置き去りにされたまま。帰ってこない持ち主をここで待っているのだ。

 ――いや、絶対違うな。
 だって、どう見てもこれは大人の男のサイズの手袋だ。
 ならば、こういうことがあったとか?

 年末。忘年会シーズン。
 酔っ払った男は、持っていた鞄もちゃんと閉じず、そこから持ち歩いてた片方の手袋が落ちたことにも気付かず。
 かわいそうに。手袋はそのまま気付かれずに置いていかれてしまった。

 ――めちゃくちゃありそう。むしろそれだろう。
 でもそれじゃあロマンがない。
 せっかくなので、もっとロマンチックな出来事を考えてみる。

 年の瀬。カップルが北風吹きすさぶ道を歩く。
 彼女の冷えた手を、彼がそっと自分のコートのポケットに招き入れた。
 元々付けていた邪魔な手袋は反対側のポケットへ。
 そのポケットから零れ落ち、道端に残していったことにも気付かない。彼には彼女しか見えていない。
 手袋はそんな二人の後ろ姿を静かに見送った。

 ――よし、これだ。これでいこう。
 これでいこうって何だ。全ては単なる想像だ。
 真実は落ちているその手袋しか知らない。


『手ぶくろ』

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