川柳えむ

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11/16/2023, 10:56:46 PM

 こうやって、君の隣にいられるのはあとどれくらいだろうか?
 限りある時の中で僕らが出逢えた奇跡を噛み締める。
 知っている。どれだけ今一緒にいたとしても、いつかは必ず離れ離れになることを。
 そうやって、何度も何度も繰り返してきた。君と出逢い、離れて。また君と出逢うまで何度も何度も。
 君は覚えていないだろうが、僕はずっと君を待っていた。
 そしてきっと、また離れ離れになっても、何度でも君を探すだろう。出逢えるまで、いつまでも待ち続けるだろう。
 でも、またその時が来るまで。今の幸せを精一杯噛み締めて生きていく。


『はなればなれ』

11/15/2023, 10:57:58 PM

「おいで。かわいいかわいい子猫ちゃん」

 歯の浮くような台詞。
 普通、素面だったら絶対に言えない。いや、素面じゃなくても言わない。ナンパ男だってそんなこと言うような奴はいない。
 我ながら気持ち悪いなと思う。
 でも、思わず出てしまった。それだけかわいいと思っているし、傍に来てほしい。
 いや、君を形容するのには、かわいいという言葉だけじゃ足りない。宇宙一素敵で、何よりも大切な君。
 手を伸ばす。君に触れ、頭を優しく撫でる。
 すると、君はゴロゴロと喉を鳴らしながら、僕の膝の上に乗ってきた。

 はー……かわいい……!
 最近やって来たうちの子猫は超かわいい。いや、大きくなっても間違いなくかわいい。世界一、宇宙一だ。うちの猫かわいー!!


『子猫』

11/14/2023, 10:46:03 PM

 つむじ風が巻き起こり、木の葉が舞い上がる。
 高く青い空と少し冷えた風が、秋が来たことを教えてくれる。
 あぁやっと秋が来たか。今年の夏は長かったなぁ。それでいて本当に暑かった。
 ようやく色付き始めた木々を見渡す。
 その木の間で、また新しいつむじ風が生まれていた。
 そのつむじ風の中心に、一人の少年とも少女とも見分けのつかない子供が立っていた。
 あれ、いつの間に。この子も紅葉を見に来たのかな?
 そんなことを思いながら、なんとなくその子のことを見ていた。
 そして気付いた。不思議なことに、その子が歩くたびにつむじ風が巻き起こっている。舞い上がる色とりどりの木の葉を見て楽しそうに笑っている。
 視線を感じたのか、その子が振り返った。
「しまった!」というような、そんな表情を浮かべた次の瞬間、その子は巻き上がったつむじ風に飲み込まれるように消えてしまった。
 ――え?
 何が起きたかわからず、ただ呆然とその光景を見ていた。

 そして、冬がやって来た。
 あっという間に冬になったのって、自分のせいじゃないよね?


『秋風』

11/13/2023, 10:37:04 PM

 あなたとはここで出会った。
 この広いインターネットの海の中で。
 海の中の出会いは、簡単に泡になって消えてしまう。繋がる糸はすぐに切れてしまう。
 待っていても帰ってくるかわからない。……待ってくれていても帰れるかはわからない。
 でも出会いなんて、そんなものなのかもしれない。
 一期一会。
 だからこそ、この瞬間を大切に。
 感じた想いをタップにこめて、あなたに♡を届けよう。あなたがここからいなくなってしまうまで。
 そしていつかどこかで見かけたら、またいっぱいの♡を渡すよ。


『また会いましょう』

11/13/2023, 7:40:16 AM

 ただ見ていただけだった。スマホのブラウザ上で、調べた記事を。
 本当にそれだけだったんだ。それだっていうのに。

 プツリと電源が落ちた。

 真っ暗になった画面。もう完全に電源が切れている。うんともすんとも言わない。
 えっ、何?
 とりあえず強制再起動だ。電源ボタンを長押し、と。――反応なし。
 さぁっと血の気が引いた。
 いやいや、まだ慌てるような時間じゃない。
 ひとまず充電を繋ぎ直し――充電ランプが光らない……。え? じ、じゃあ、パソコンに繋いでみるのは? 何も認識しない……。――完全に無反応。

 …………終わった。

 スマホが突然死した。
 知っていた。このスマホは突然文鎮化(起動しなくなること)することが割と多いらしいということは。
 でもまさか、それが自分の身に起ころうとは。正常性バイアスというやつだ。自分は大丈夫だと思っていた。
 よりにもよって、このスマホのデータは全て本体に保存されるタイプだった。SDカードを入れられないのだ。そして、その正常性バイアスにより、バックアップすら取っていなかった。
 数日前に「そろそろバックアップ取っておこうかな?」とか思っていたじゃないか。なぜその時に取らなかったんだ。そう今更後悔しても遅い。
 写真や動画や録音したデータも、引継設定していなかったゲームのデータも、全ておじゃんだ。泣いた。

 保証期間も過ぎている。そもそも、サポートに電話して修理に出したところで、間違いなく初期化されて返ってくるだろう。
 それならば、街にあるスマホの修理屋に出した方が、まだ復旧確率が高い。
 そう思い、調べてみて、良さそうな修理屋に電話してみる。
 そしてそのままその足で修理屋に行き、何も言わなくなったスマホを預けてきて、祈りつつ待ってみたが、少なくとも簡単には直らなかったという連絡を貰い、今に至る。辛い。
 でもまだ完全に終わったわけじゃない。これから大掛かりな修理が待っている。時間が掛かっても無事にデータが戻ってくるよう心の底から祈っている。

 ――そういえば。
『書く習慣』というアプリをやっていた。
 あれはどうなるんだ。
 サブのスマホは一応持っている。最低限の機能なら使える。重くなければアプリだって入れても問題ない。だが、あれもそもそもアプリの引継設定をした覚えがない。
 どうやら、GoogleやAppleのアカウントを連携しておくことでデータの引継ぎが簡単にできたらしい。
 遅い。今更後悔しても遅いのだ。
 サブのスマホに『書く習慣』アプリをインストールした。最近♡数もかなり上昇してきたというのに、また1からのスタートだ。
 開くと『スリル』というお題が現れた。
 ……あぁ、たった今、体験してきたよ。スリル満点の体験を。
 いらないんだよ、こんなスリルー!! というか、あースリル感じたーだけで済むといいなぁー! 今のとこスリル感じたーで終わってないんだよ! 単に超不安だよ!

 以上、本当につい最近(昨日)身の回りに起きた体験談でした。
 皆さん、今すぐ設定から引継設定しておきましょうね。
 そしてここからは願望ですが、またお気に入りに入れて♡貰えると嬉しいな……。
 あと無事に復旧するよう祈ってください。お願いします(泣)


『スリル』

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