つむじ風が巻き起こり、木の葉が舞い上がる。
高く青い空と少し冷えた風が、秋が来たことを教えてくれる。
あぁやっと秋が来たか。今年の夏は長かったなぁ。それでいて本当に暑かった。
ようやく色付き始めた木々を見渡す。
その木の間で、また新しいつむじ風が生まれていた。
そのつむじ風の中心に、一人の少年とも少女とも見分けのつかない子供が立っていた。
あれ、いつの間に。この子も紅葉を見に来たのかな?
そんなことを思いながら、なんとなくその子のことを見ていた。
そして気付いた。不思議なことに、その子が歩くたびにつむじ風が巻き起こっている。舞い上がる色とりどりの木の葉を見て楽しそうに笑っている。
視線を感じたのか、その子が振り返った。
「しまった!」というような、そんな表情を浮かべた次の瞬間、その子は巻き上がったつむじ風に飲み込まれるように消えてしまった。
――え?
何が起きたかわからず、ただ呆然とその光景を見ていた。
そして、冬がやって来た。
あっという間に冬になったのって、自分のせいじゃないよね?
『秋風』
11/14/2023, 10:46:03 PM