降りしきる雨の中。
しょんもりと佇む君の背中は、いつもの何倍も小さく見えて。
可愛いな…って思ってしまった。
ちょっと惚けてしまってから、慌てて私は持っていた傘を、君の上にかざした。
「…睦月さん!?」
「水無月くん。君傘忘れたんでしょう」
貸したげるよ、とそのまま傘を握られようとしたら、慌てて止められた。
「いや、いやいやいや、流石に申し訳ないですって」
「別にいいし。もってけドロボー」
「ドロ…とにかく、僕は大丈夫ですから」
それからどうしたんだっけ。そうそう、遠慮する僕を、あなたが無理やり傘の中に引き込んで、それから…
お礼にと、喫茶店で奢った君好みの硬めのプリン。掠れたレコードの音色が、無言の僕たちの間を和ませてくれた。ふと窓の外を見れば、そこは雨上がりの街。
「雨…上がり、ましたね」
雨粒のカーテンが開いて、窓ガラスに映ったあなたの瞳が、とても綺麗だった。
2人を繋いだ雨は、早々に降り止んだけど。こうして今は、幸せの虹が、2人の間で輝いている。
「雨に佇む」
※私の日記帳 保留 最近あんまり書けなくてごめんなさい。
ある日目が覚めたら、口の中に苦い味が広がっていた。
なんでか分からないけど、苦くて、お世辞にも美味しいとは言えない味だった。なんだろ、これ。確かに昨日は友達と喧嘩してしまったけれど。淋しいわけでも、悲しいわけでもないのになぁ。考えながら、その味を噛み締めた。
それは、初めて体験する「やるせない」という気持ちだった。
「やるせない」
「空と海の境目ってさあ、ない方が良くね?」
馬鹿なあいつが、窓の外、遠い海を眺めながら言った。
「なんで?」
「空と海も地球も宇宙も。全部ごちゃ混ぜになったらさあ、明日のテストもなくなるよ、多分」
「はは、そうかもね」
次の日のことだった。あいつが、坂を下ったとこでガードレールに突っ込んで、空と海と一緒になったのは。海も空も群青色に染まり、境目なんてない。ガキの頃、ふざけてぐちゃぐちゃに混ぜた絵の具みたいな色。
その日から、長い間雨は降り続いた。
「さよならを言う前に」保留…夏休みの課題が終わらないので…。