苑羽

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「空と海の境目ってさあ、ない方が良くね?」
馬鹿なあいつが、窓の外、遠い海を眺めながら言った。
「なんで?」
「空と海も地球も宇宙も。全部ごちゃ混ぜになったらさあ、明日のテストもなくなるよ、多分」
「はは、そうかもね」

次の日のことだった。あいつが、坂を下ったとこでガードレールに突っ込んで、空と海と一緒になったのは。海も空も群青色に染まり、境目なんてない。ガキの頃、ふざけてぐちゃぐちゃに混ぜた絵の具みたいな色。

その日から、長い間雨は降り続いた。

8/24/2023, 11:27:49 AM