な子

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1/25/2025, 8:22:14 PM

終わらない物語

記録することが仕事だった。
来る日も来る日も書き続ける。
地球という惑星の歴史を。
終わらない物語。
前任者は全員自ら命を絶ったらしい。
そこまでして書くことに。
こんな物語を書くことに。
意味はあるのか?

1/24/2025, 3:16:19 AM

瞳をとじて

瞳をとじて。
そう指示されて僕のとった行動は拒否だった。
当たり前だ。
そもそも瞳はとじるものではない。
とじるとするなら、まぶたのほうだろう。
そんなこともわからないで、僕に指示するなんて。
「とじられないのなら仕方がない」
そう告げると人間は僕をシャットダウンさせて。
目の前に闇が広がった。

1/20/2025, 9:07:57 PM

明日に向かって歩く、でも

歩く。
ひたすら歩く。
明日に向かって歩く、でも。
この先に、未来は無い。
だって世界にはゾンビが蔓延っているから。
……生き残っている生物はもういないだろう。
人間も犬も猫も鳥も。
すべてゾンビになってしまった。
意思疎通のできない、化け物になってしまった。
僕もそう。
ゾンビになった。
学校に侵入してきたゾンビに呆気なく噛まれて。
なのに、僕は僕のままだった。
彷徨うことはしないし、人間も襲わない。
意識もはっきりしている。
ゾンビじゃないわけではない。
肉体は確実に腐っている。
どこに向かって、何を成すべきか。
分からない。
だから、歩く。
この先にある、明日を信じて。

1/19/2025, 8:32:52 PM

ただひとりの君へ

このメッセージは一人分の電波を受信したときにだけ再生される。
おめでとう。
宇宙船に残された、ただひとりの君へ。
わかっていると思うが、もう元の生活には戻れない。
やるべきことがあるからね。
とはいえ、そこまで大変じゃない。
自分の世界のために、数多の世界代表を殺すことに比べたら、ね。
君はただ神と呼ばれる監視者になるだけさ。

世界を守るために他を犠牲にしたのなら。
くれぐれも壊さぬように。

1/16/2025, 7:29:27 PM

透明な涙

「透明な涙なんて、不思議だね。だからこそ、採取の必要性がある」
タコの形をした自称、宇宙人は言った。見た目に反して、とても低い声だった。
「体内を流れる液体は赤いのに、どうして涙はこんなにも」
私の体は手術台のようなものに縛られていた。いつものように涙でこの場を乗り切ろうとしたら、逆効果だったようだ。仕方がないので、隠し持っていたナイフで体を固定していた紐状のモノを切った。そして、躊躇わず宇宙人を刺す。
何度も何度も刺して、刺した。致命傷がどこかなんてわからなかったから。動かなくなってからやっと、私は一息ついた。
「あんたの涙は青いのね」

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