透明な涙
「透明な涙なんて、不思議だね。だからこそ、採取の必要性がある」
タコの形をした自称、宇宙人は言った。見た目に反して、とても低い声だった。
「体内を流れる液体は赤いのに、どうして涙はこんなにも」
私の体は手術台のようなものに縛られていた。いつものように涙でこの場を乗り切ろうとしたら、逆効果だったようだ。仕方がないので、隠し持っていたナイフで体を固定していた紐状のモノを切った。そして、躊躇わず宇宙人を刺す。
何度も何度も刺して、刺した。致命傷がどこかなんてわからなかったから。動かなくなってからやっと、私は一息ついた。
「あんたの涙は青いのね」
1/16/2025, 7:29:27 PM