Open App
4/12/2023, 3:43:25 AM

君を想う時に襲ってくる
呼吸が浅くなるほどの
痛みや苦しみや恐怖が
日毎に増していく事が
僕は何よりも怖い
いつか僕はこの苦痛が破裂してしまう前に
君との別れを選ぶのだろうかと
嫌な想像が頭を擡げる
くだらない日々を消費している

恋人の有無や結婚願望を訊かれる時
大概僕は笑って誤魔化すが腹の中では
この見えている色をどうにかしてくれと
誰かに怒号を喚きたくなる様な
どうしようもない激情が渦巻く
こんな事知らずに堂々と
生きていけたらよかったのに

4/3/2023, 9:58:54 AM

君と出会ってしまった事が
時々酷く恐ろしくなってしまう程
別れを想像しただけで
世界が灰を被ったように思えてしまう程
この奇怪な人生を
結局僕は愛していて
手放す事が惜しいほど
大切に思っていて
僕は死ぬ事を選べないまま、
選ばないままでいる

3/30/2023, 5:21:10 PM

何気ないふりをした
君が僕の飲み物を飲んだ時も
君が僕の口にプチシューを突っ込んだ時も
傘を半分に分け合った時も
僕は何気ないふりをした

くすぐり合って笑い転げた時も
ぴったり体を寄せ合ってテレビを観る時も
君が突然失恋話をしてきた時も
僕は何気ないふりをした


けれど時々思い出してしまう
兄弟の誕生日を忘れるくらい鈍感な君が
僕の誕生日だけは覚えていると自慢げに笑った事や
君が誰かと付き合っていた時
僕にだけは知られたくないとひた隠していたので
別れてから知ったのは僕だけだった事
そこには裏も表も
ましてや真意なんてあるわけが無いのに
僅かにでも期待しそうになる自分に気付いては
自分で律して罰する事を
これからあと何度繰り返すのだろう

その不毛な痛みを抱えてでも
手放したくないと願ってしまう汚い僕に
どうか気付かないようにと
また何気ないふりをした

3/29/2023, 4:45:59 PM

人生の終わりを考えた時
賑やかなテレビがパッと消えるように
何もかも無かったことになるとしたら
立つ鳥跡を濁しまくってしまってもいいじゃないかと
いい加減な事を思ったりする
とどのつまり僕は自分勝手な人間なので
最小単位の人間が幸せならそれで良いじゃないかと
思って生きているし
これからもおそらくこの考えは変わらないだろう


ただ自分でも時々不思議に思う
昔は周りに怯えて気を遣って
誰かが作り上げた理想の僕の人生をなぞって
振り返っては自分が誰かも見失い
ぐしゃぐしゃの過去とその延長の今が頭をもたげ
早く轢き殺してほしいなどと
歩道を歩くたび願っていた
けれど
僕の代わりに君が怒ってくれたあの時
ああもっと怒ってもよかったのだと目が覚め
周りに少し反抗できるようになると
良いね、と言って君は笑った
もっと自分のために生きて良いのだと
何度も僕に教えてくれた
周りの大人とは全く違う形で
僕の幸せを願い続けていた
誰かから見たら僕は嫌な子になったかもしれないが
自分を殺して生きるよりずっと楽に呼吸ができると
四半世紀生きてきてようやく知る事ができた
たった一人の人間のお陰で


「生きよ、堕ちよ」
坂口安吾の堕落論の中でも有名な言葉だが
結局のところやりたいように生き抜く、という事が
堕ち切るところまで堕ちる、という意味なのだろうと
今になっては分かる
そうして知った生き方の果ては
堕ち切った道の果ては
幸せなんじゃないかと
確証などなくとも僕は信じている

3/28/2023, 2:35:41 PM

君の瞳に見つめられている時
午後の柔らかい陽だまりに似た
微睡むような安心感に包まれる
それは君が側に居る証拠だから

Next