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7/13/2023, 11:56:15 AM

『優越感、劣等感』

誰かより優れていたいという気持ちはごく自然なことだと思う。特に日本人は、昔から競争心が高く、それは令和である今に至っても変わらない。

そもそも、優越感・劣等感というのは、欲望からくる感情である。「あの子に勝ちたい」 「誰かに自分の才能を認めてもらいたい」という気持ちがあるからこそ、ずっと越えられなかった壁を越えた時には、自分には才能があるのだと優越感に浸り、いつもだったら勝てていた相手に負けてしまった時なんかは劣等感を感じる。

なんて素敵なことだろうか。欲望とは、人を動かす最大の原動力となる。「勝ちたい」「自分の力を証明したい」という強い想いが、その人の力を最大限に引き出し、その後の満足度や達成感によって、また新たな感情が生まれる。優越感・劣等感というのは、あくまで通過点に得る一つの感情にすぎない。感情が感情を産むということは、まさに、想いの豊かさということだろう。

7/12/2023, 11:56:00 AM

これまで小・中と無遅刻無欠席の皆勤賞だった僕が、もぅ高校生もあと一年となった頃、これは見事にくだらない遅刻をしてしまったのである。

僕はチャリで高校まで通っていた。家の周辺は、まぁ見事な田んぼやら畑やらが広がるド田舎であった。たが、それがまた良いのである。
春には、田んぼの脇にたんぽぽが咲き、秋頃になると畑にはコスモスが一面に咲き乱れる。風や空だって、当然季節によって変わる。四季の変化を感じることで、時の流れを感じる。なんてロマンだろうか。
さてさて、ディスられがちな田舎を程よくアピールしたところで本題に入ろうか。

僕の人生最大のアピールポイント"小・中・高と無遅刻無欠席"というレッテルが儚くも崩れ去った日、その日は、ちょうど五月に入った頃だった。僕は田んぼの着せ替えの中でも、特に五月が好きなのだ。五月と言えば、田んぼに水が張る時期。そう、水田である。水田という小さな湖(池よりも湖の方が何だか響きが良いので湖とさせて欲しい)となったその水面に映る五月の空は、何て青く、晴れ晴れとしていて、僕の心を凪のごとく清らかに晴らしてくれるのだろうか。そんな空模様を地面に描いてくれている小さな湖に気を取られていた時、突然、僕の視界が揺らいだのである。そう、簡単に言ってしまえば、転倒である。簡単も何も転倒という二字をどうやったらかっこよく美化できようか。だが、それはただの転倒で済まなかった。そもそも、僕が転倒した大きな原因、それは、水田から上がった泥だった。形状が保たれないくらいにしっかりと水分を含んだその泥は、僕をウユニ塩湖から最悪の現実へと引き戻したのだ。当然、左へと傾いた僕の体には、見事に左半身泥まみれだった。このまま学校へ行けば、間違いなくしばらく周囲の笑いものだろう。仕方なく近くの公園で洗う事にした。が、これがまた、なかなか落ちないのだ。もはや、無遅刻無欠席など気にしている場合ではなかった。ひとまずこれくらい落とせばいいだろうと思った頃には、もぅSHRが始まった時間だった。
学校へ着くなり、僕を心配してくれたクラスメイトたちがどうしたのさと口々に寄って来てくれたが、そんな優しいクラスメイトたちに、僕は丁寧に、自らのドジっぷりを晒すこととなったのであった。

7/11/2023, 8:33:03 AM

朝、目が覚めると、いつもより少しだけ、ほの暗いように感じた。
それもそのはず、時計を見るとまだ五時だった。二度寝しようかとも思ったが、生憎、一度目が冷めたらなかなか寝付けないタイプで、せっかく起きたのだから、いつもと違う事をしようと思い、私は、早速顔を洗い、眠気を吹き飛ばして、ランニングを始めた。

五月に入ったが、まだ早朝は肌寒い。
だがそれも走ってしまえば、徐々に高まる体温に、程よく早朝の凍てついた風が肌をかすっていく。なんて気持ちいいのだろう。右からは小川のせせらぎが耳をくすぐり、時々すれ違う人々からは爽快な挨拶を送ってくれる。

一時間ほどして帰宅。シャワーを浴びて、出勤。ここからは、いつも通りの日常となるが、履きなれた靴を履いて玄関を出た私の身体は、いつもより軽かったように思う。