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4/7/2025, 10:58:09 AM

「ん、花」
「花…?なに、プレゼントでも言うんか」
「そうだけど」
「俺サプライズとか苦手って言うたやん」
「そうだけどさ」
「こーゆーのどうやって反応したらいいか分からん」
「別に、ありがとうで良くない?」
「俺そんな反応できないねん」
「まあ、アンタ反応薄いもんね」
「それただの悪口やろ」
「事実です」
「そうかもしれへんけど」
「これね、ドライフラワーにしてもいいんだって」
「ドライフラワー?あぁ、あの乾いた花か」
「もうちょっと言い方あるでしょ」
「…ふーん、そうなん」
「あ、話逸らした〜」
「うっさいわ」
「拗ねないでください」
「拗ねてません」
「うっそだあ」
「嘘じゃないわ、はよ歩け」
「歩いてるジャーン」
「はあ…」

「ま、ありがとさん」
「大切にさせてもらうわ」
「エッ」
「…なんや」
「アンタが、礼言うなんて…」
「阿保か、それくらい躾けられてるわ」
「躾けられてるわとかやめて??ちょっと語弊ある」
「ちょっとじゃないやろ、こんなん語弊にもならんわ」
「いやなるから」

「…ま、大切にしろよ!」
「そう言ってるやんけ」
「俺が一時間かけて選んだんだからな!」
「…それは大切にしなあかんな」
「当たり前!」

4/6/2025, 11:45:09 AM

「ここやんな」
「え、こんな古びたぁー?」
「文句言うなや、ここしかないやろ」
「でもさぁー?こんなぼろぼろで」
「仕方ないやろ、ほら早く入りや」
「もー、仕方ないやんなっ!」
「エセやめろや、全然できてへんで?」
「うるせー!!」
「はいはい、はよ入り」
「あ、レディーファースト??」
「何言うてんねんお前ばりばりの男やろが」
「もお、なんでそんなこと言うの?」
「キショいのぉ」
「え、傷付く」
「勝手に傷ついどけや」
「うぇーん」
「…もうちょっとうまい泣き真似できへんのか?」
「おれっぴピュアだからあ」
「ピュア?何言うてんねん、そんなわけないやろが」
「そっかあ??そうなのかなあ?」
「あーもう、うるさいわ。はやく入るで」
「うん」
「なにこれ、地図?」
「地図やんな??なんでこんなところにあるんやろか」
「わかんねーけど、新しいね?」
「…、ちょっと貸してや」
「ん?いーけど」
「ありがとさん」
「なに?何かわかるの」
「………これ、俺ら詰んだな」
「え??」
「吸い込まれるで」
「え?って、えええええええええ!?!?」
「ちょっとっ、!服つかんどけ!!」
「うえっ!?おちてる、おちてるううう」
「うるっさいわ、黙ることもできへんのか!?」
「いやそんな状況じゃないでしょ!?」
「新しい地図ってこわい!!」
「そんな簡単に触れるもんちゃうやろ!?何勝手に触れてんねん!?」
「もーっ、うるさいよっ!!!離れちゃうから、暴れないで!」
「暴れてんのそっちやろが!とりあえず、受け身でも取れ」
「うん!!」
「骨折れても知らんで!?」
「え!?責任取れよ」
「なんでやねん」
「お前のためにここまできてやってんの、俺は!」
「そんなの知らん、…着きそうや、頭気をつけろ」
「うわあああああ!!」

4/4/2025, 11:42:57 AM

「わー、」
「うぉっ!…なに、どうしたの」
「んふふ、別にっ!」
「もー、なんなんだよ〜」
「…ね!」
「ん?」
「なんのお花が一番好き?」
「え?うちは〜、うーん、もう直ぐ時期になるから桜かな」
「桜好きなのっ?確かに、東京とかではもう咲いてるらしいよね」
「別に好きとかないけどね、花なんて全部綺麗だし」
「だよね!そう思うよね」
「うん。でも、いきなりどうしたの?」
「…んー、別に?聞いてみたかっただけ」
「へえ、逆になんの花が好きなの?」
「え、うち?」
「そっちが聞いてきたんだから、そっちも教えて?」
「うーん、私はー、」
「うん」
「あ な た❤︎」
「おえっ」
「おいw!!なんで吐くのさ!!」
「いや、ちょっとね」
「もー、せっかくうちが思い伝えてやったっていうのにさー」
「思いってなんなのよ…」
「ま、これからも遊んでねって」
「…そんなの当たり前でしょ」
「ふーーー!!最高!」

4/4/2025, 3:29:19 AM

意識はしてないが、捉え方によっては注意












「ねえ」
突然、話しかけられた。
「なに、×××」
できるだけ明るい声で返したつもりだったが、寝起きで掠れていたらしい俺の声は、ひどく気持ち悪く感じた。
「俺、引っ越さなきゃいけなくなっちゃったんだ」
初耳だった。お前からそんな話は聞いたことがなかった。
「…へぇ、そうなのか」
どこに引っ越すのだろうか、ここから遠かったらもう会えなくなるのかな、なんてことを考えながらテキトーに返事をする。
「え、もっと悲しんでくれるかと思ってたのに」
「いや、別に死ぬわけじゃねえだろ」
残念、と口を尖らせて目を細める。
「そうだけどさ、会えなくなるんだよ」
まあ、それは確かにそうだ。
ほぼ毎日ここに来て、いつも遊んでいる俺たちが離れたらどーなるんだろ、とは思う。
「…安心しろ、いつでも会いに行ってやるからよ」
そういうと、お前はその丸くて大きな目をさらに開いて、きらきらと輝かせた。
「嘘じゃないよね」
「嘘なんてつかない」
「うれしい、ありがとう」
「これからも沢山あそぼーぜ」
「うん」

これからも、君と

4/2/2025, 11:50:15 PM

「ねー、何してるの」
「ん?」
「ぼーっとしてたから」
「いや、空、見てただけ」
「空?」
「うん。あれ、みえる?」
「えー、?月?」
「よくわかったね」
「そこまで馬鹿じゃないんですがね」
「夜ってさ、月が輝くじゃん」
「そうだね」
「夜の月ってみんなが見てるじゃん」
「うん。まあね」
「てことは夜の月はみんなのものじゃん」
「うん」
「でもさ?明るい時の月ってみんなみないよね」
「確かに…!」
「ね、でしょ?」
「俺しか見ないでしょ」
「そうだね?」
「そしたら、この月はおれのものだよね?」
「うん…?そうだね」
「俺は、月が欲しいんだ」
「夜はみんなのものだけど、明るい時は俺のもの」
「たしかに!」
「でも月は手に収まらない」
「うん」
「だから、その代わりに毎日見てるの」
「月を?」
「うん」
「えじゃあ、俺見たらダメ?」
「うーん、まあ、仕方ないから、今日だけ見せてやってもいいよ」
「ありがとう」
「うん」

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