「ねー、何してるの」
「ん?」
「ぼーっとしてたから」
「いや、空、見てただけ」
「空?」
「うん。あれ、みえる?」
「えー、?月?」
「よくわかったね」
「そこまで馬鹿じゃないんですがね」
「夜ってさ、月が輝くじゃん」
「そうだね」
「夜の月ってみんなが見てるじゃん」
「うん。まあね」
「てことは夜の月はみんなのものじゃん」
「うん」
「でもさ?明るい時の月ってみんなみないよね」
「確かに…!」
「ね、でしょ?」
「俺しか見ないでしょ」
「そうだね?」
「そしたら、この月はおれのものだよね?」
「うん…?そうだね」
「俺は、月が欲しいんだ」
「夜はみんなのものだけど、明るい時は俺のもの」
「たしかに!」
「でも月は手に収まらない」
「うん」
「だから、その代わりに毎日見てるの」
「月を?」
「うん」
「えじゃあ、俺見たらダメ?」
「うーん、まあ、仕方ないから、今日だけ見せてやってもいいよ」
「ありがとう」
「うん」
4/2/2025, 11:50:15 PM