鶴づれ

Open App
8/22/2023, 1:35:45 PM

裏返し


 表の裏は裏。
 裏の裏は表。
 裏の裏の裏は裏。
 裏の裏の裏の裏は表。
 裏の裏の裏の裏の裏は裏。

 だんだん裏がゲシュタルト崩壊して、なんだかわかんなくなっちゃった。

 裏返して見えるのは、表?裏?

 それとも…

8/21/2023, 12:55:00 PM

鳥のように


 鳥のように翼を羽ばたかせて

 自由に空を飛んでいけたのなら

 雲の向こうに住んでる君に、会いにいけるのかな

8/21/2023, 9:06:58 AM

さよならを言う前に


 校門のあたりが、明るい声で満ちている。
 卒業証書が入った黒い筒を手に、三年生が最後の時間を楽しんでいるのだ。
 教室の窓から先輩たちを眺めつつ、ラインを開く。
『先輩、卒業おめでとう。話したいことあるから、後で時間作ってくれない?』
 朝、彼氏に送ったメッセージ。卒業式は終わったのに、まだ既読すらついていない。
 別れ話をするって、思われてるのかな?先輩、東京の大学行くし。
 少し考えて、ラインにメッセージを追加する。
『先輩。さよならなんて言わないよ。私、先輩と同じ大学目指すから』


 卒業式は滞りなく終わり、卒業生となった三年生が校門前にたむろしている。高校生活の最後を必死に先に伸ばしているんだ。
 かくいう僕も、その一人。彼女と同じ学校にいられる時間を引き伸ばすために、浅い付き合いのクラスメイトの会話を眺めているだけ。
 ポケットからスマホを取り出して、ラインを見る。
 通知が一件。彼女である後輩からのメッセージ。
『先輩、卒業おめでとう。話したいことあるから、後で時間作ってくれない?』
 まだトーク画面を開いていないから、既読はつけていないことになってる。既読をつけたら、何かしら返信しなくてはならない。
 僕は進学して東京へ行くから、十中八九別れ話だろう。ここから東京へは特急で二時間。今までのように、毎日のように会える距離ではない。彼女も卒業して、もし遠くへ行くようならば…。もう、会えないかもしれない。
 嫌だ。嫌だから、せめて彼女と付き合ってると言える時間を長くしたい。
 そうして、ラインを見ながらうじうじしていると、通知がもう一件増えた。また、彼女からだ。
『先輩。さよならなんて言わないよ。私、先輩と同じ大学目指すから』
 話したいことって、これか。
 まったく、偏差値足りるのかよ。勉強、苦手そうだったのに。
 …でも、やっぱり彼女は強いな。
 ようやくラインに既読をつけた。

8/19/2023, 10:40:44 AM

空模様


 目が覚めると、ざあざあと雨が降る音が聞こえた。
 そう言えば、嵐が来るって天気予報で言っていたっけ。
 ベッドから出てカーテンを開けると、予報通りの大雨が降っている。
 今日は、出かけられそうにないな。映画を観に行こうと思っていたのに。仕方ないけど、悔しい。

 どこか重い気分のまテレビをつける。
 映ったのはいつものニュース番組。この地域で大雨が降るから、警戒しろとのことだ。その他のニュースは事件とか政治の話で、正直面白くない。土曜日の朝なのだから、もっと明るい話をしてほしい。

 テレビをやめて、スマホを見ると、溜まった通知の中にラインがあった。遠距離の恋人からだ。
『おはよう〜!そっち、嵐で大変そうだね。こっちはめちゃくちゃ晴れてるから、空の写真送っときます』
 メッセージの下にあったのは、清々しいほどの青空。朝の薄い青に慎ましく雲が浮かんでいて、本当に綺麗。

 私のところは大雨だけど、君のところが青空ならば、それでいいか。
 軽くなった気持ちを抱え、恋人にありがとうのスタンプを返した。

8/19/2023, 7:14:46 AM




 お土産屋さんに並んだ、ちりめん細工の鏡。

 桜に紅葉、兎に猫。赤や桃色、黄色や青。

 たくさんの模様に、数多の色。

 同じものなんてない鏡を、手に取っては戻す。

 彼女は、どれが好きだろう?

Next