5つ見えるものを確かめて
4つ聞こえるものを確かめて
3つ触れられるものを確かめて
2つ匂える香りを確かめて
1つ何かの味を確かめて
全てを確かめて、ようやく私が今存在していると感じた。
そうして今生きていることを確かめないと寝られない夜が何度かあった。
変化が怖かった。
どこに向かうかわからない未来が怖かった。
何より、怖がることに疲れていた。
疲れて、確かめて、私は今どうしようもなく1人なのだと思い知った。
それがとてつもなく寂しかった。
-寂しさ-
たまたま同じ病院で生まれて、たまたま家が隣で、そこから今まで22年の仲の幼馴染は、今年元気な男の子を産んだ。
一年半ぶりに実家に帰って、ついでに(とても会いたくて)彼女と彼女の赤ちゃんに会った。
私たちの1番古い写真より少し小さい彼を抱っこしたら、何だか心が締め付けられた。私たちもこんなに小さく、こんなに手をかけられて、こんなに愛されて育ったのかと。
私たちが似てるのなんて笑うツボくらい。
私は今でも海外を飛び回るのが好きで、彼女は家庭の中に幸せを感じている。
こんなにも近いのに、何一つ同じ道を通ってきていない。
けれど、それでもただ彼女が呼ぶ私の名前に勇気付けられる。
彼女がいる私の人生が好きだと思える。
不思議な縁だし、その縁を気に入っている。
大人になってゆく。会えなくなってゆく。そしていつか死ぬ。
だけどこの不思議な縁は巡るなあと、私の顔を見て泣く彼女の愛息子を見てそう感じた。
一年半ぶりに実家に帰った。
何回も涙が溢れそうになって、胸がギュッてなった。
家族は私のことをすごく愛してくれているし、私も同じくらい愛したいんだなあ。
同じくらい、愛したいんだなあ。
-光と闇の狭間で-
思い出
それはたまに思い出すもの
思い出して、嬉しくなるもの
思い出して、あの時生きていたことを実感するもの
たまに夢だったかなとも思ったり
思い出したくないこともあったり
でもそんな思い出も自分が驕り高ぶらないために必要だったり
教訓になったり
いいことだけが人生じゃない
いい思い出だけじゃスパイスが足りない
世界は5分前に始まったのかもしれない
じゃあこの思い出は本当にただの夢かもしれない
では何が今の私を証明するのだろう
それもまた思い出の役割かもしれない
-沢山の思い出-
疲れた。
すごく疲れた。
"ここじゃない"
と心が言う場所に居続けるのは疲れる。
楽しい、嬉しい、幸せ。
だけど、ここじゃない。
どこにでも行けるのに、どこにも行けない。