ヘリコプター
ビルの屋上に立って空に向かって腕を伸ばす
ほらプロペラの飛行音が聞こえてくる
私のヘリコプターが迎えに来たんだ
迎えに来たんだ
迎えに来たんだ
残念ながらここに神様はいなかったようだ
あるのは瓦礫のような薄暗い町だけ
雲の間からヘリコプターが降りてくる
降りてくる
降りてくる
さっきファーストフードで昼食を食べた
私の好物のチーズバーガーを二つ食べたの
私はヘリコプターに乗って上昇していく
上昇していく
上昇していく
相変わらず空は曇ったままだった
パイロットは無表情で操縦している
飛行音が絶えずリズムを奏でている
バ バ バ バ バ
バ バ バ バ バ
空のどこかには神様がいるかもしれない
どうでもいいことだ
私が向かう場所にそれは必要ないもの。
ニライカナイ
ある男の子の場合。
その男の子は戦士に憧れていた。
大切な人を護るために戦う英雄。
たとえ自分を犠牲にしてでも、悪と戦う誇り高きヒーロー。
なんの淀みも濁りもない純粋無垢な精神。
戦いの中倒れたとき、天国で仲間たちと出会うことを信じている。
ある女の子の場合。
その女の子は白雪姫に憧れていた。
おめかしして、素敵な王子様とデート。
甘いお菓子に紅茶、ほかの女の子たちとお茶会。
特別な存在で、いつも綿菓子のような心でいる。
初恋の味は、きっと甘美なものだと信じている。
そんな少年少女たちは大人を嫌っていた。
大人は汚れている。
大人の恋愛は腐敗している。
彼らが望んだものはそんな大人じゃない。
大人に身体を汚される前に。
戦士への憧れを抱いている間に。
初恋への憧れを抱いている間に。
身体がまだ綺麗で、未成熟で、美しい間に。
そんな彼らが出会ったとき。
美しいままでいるために、彼らは海へ行く。
天国では海の話をするらしいから。
ヒトは海から生まれたらしいから。
死ぬと魂は空じゃなくて海に還るから。
永遠に子供のままの魂であり続けるために。
彼らは魚になる。
夏の幻
それは車窓から見た海
巨大な雲の下の水平線が輝いていた
それは灯台の下のセーラー服の学生
その子の髪が潮風に揺られていた
爽やかな夏の匂いが僕の心を慰める
懐かしいのは母の手の温もり
涙が溢れる 苦しいほど
どうかしてしまったんだろう
センチメンタルなんだ どうしようもないほど
母が教えてくれたお伽噺
それもこんな夏が舞台だった
はるか昔の話だ うろ覚えな物語さ
でもすごく特別なんだ 僕にとって
夏の幻
それは希望でもあり 悲しみでもある
複雑な心の機械さ 苦い過去を思い出させる
母がくれた世界にただ一人 僕は生きてく
夏の日差しはお伽噺の海へ溶けて消えてった
幻みたいに切ない気持ちを抱えて…
お知らせ
メンタル不調のため、しばらくお休みします。
いつも読んでくださりありがとうございます。
水鏡
黒薔薇
あなたは完璧な女性だった
その容姿も、性格も、声色も、感性も、頭脳も
わたしを魅了するには十分過ぎた
あなたは悪くない
何も悪くないのに
あなたからは悪意しか感じられない
憎くて仕方ない
愛おしくて仕方ない
恐ろしくて仕方ない
あなたをわたしのものにしたい
でも、あなたに嫌われたくない
あなたに嫌われたら、きっと生きていけない
あなたをわたしのものにできない欲求不満が
わたしを狂わせる
あなたが怖い
あなたが微笑む
悪意たっぷりの美しい笑みで
そんな顔でわたしを見ないで
あなたの全てが欲しい
その悪意さえも
血液の一滴も残さず、全てすべてスベテ
欲しい欲しイホシイ
好き嫌い好キ嫌イスキキライ
真っ黒な薔薇のような悪意が
わたしの肺を満たすとき
どうしようもないと知ったとき
わたしは