スイング
お洒落で愉快なジャズマンがやって来た
ピアノ、ベース、ドラムにサックスが
メロディー奏でます都会の隅で
悲しそうな顔した少年少女も
ごらん、身体が揺れだしスイングを始める
音階は色彩を描きます絵の具のように
忙しなく道行くビジネスマンも
足を止めればたちまちスイングを始める
寂しそうなそこの人よ
ステージへどうぞ、共に踊りましょう
色褪せた日常のキャンバスに
筆を走らせ描きますジャズマンと
都会に夜がやってくる
賑やかな夜がやってくる
いつかは終わってしまう喧騒も
今だけは忘れてスイングしましょう
島
青と白が混ざります波線模様
その真ん中に小さな島がありました
日の光をうけて輝きますヤシの木
ここは絶海 真夏の孤島
だあれもいないあなたとわたしだけ
黄色い砂粒きらきらと
足跡消します海岸線
とおくで鳥が鳴いている
寂しい孤島 名も無き孤島
冷たく氷った月に照らされる顔
だあれもいない筈なのに
火薬のはぜる音がした
軍艦、戦車に兵隊が
戦争始めて冬がきた
南の島に雪がふる
灰色の雪がふる
灰色の雪がふる
あなたの身体は灰になる…
花
美しい花、白い花
私の心に咲いた花
あなたの心はどんな花
それはたとえば薔薇の花
それはもしくは桃の花
けれど私は摘み取ります
どうせ枯れてしまうので
美しいまま、殺しましょう
嗚呼あなたは美しい
健気に揺れる水辺の花よ
かわいそうな少女
コンビニから帰っていると
かわいそうな少女がいた。
雨なのに傘をさしていない
ずぶ濡れ少女。
ぼくは「お入り」と傘を差し出す。
彼女はぼくを見つめるなり逃げていった。
「何もしないよ…」
降りしきる雨の中呟いた。
クロール
深夜のプールに飛び込む
無数の泡が昇っていく
三日月が波の中に砕け散る
水の音以外に何も聞こえない
不安は存在しない
瞼を閉じる
淡い淡い闇が降りてくる
クロールをすると波が顔を洗う
無心に泳ぎ続ける
夜風が荒れた心を慰める
インディゴブルーの世界に入っていく…