ロゴス
@. 「わたしは鳥になりたいなっていつも思うの。この窮屈な世界から飛び立つのよ」
\. 「今月には必ず全額支払います。ですから、会社にだけは連絡しないでください。お願いします」
#. 「父さんはなんにもわかってないんだ。僕の夢を否定しないでよ」
/. 「結局さ、どんな男も動物なわけよ。アイツもセンコーも校長も、みんなヤりまくってる」
". 「あの女が□を不幸にしてるのよ。わたしならあの人を幸せにできるんだから」
*. 「お前見てっとさ、イライラするんだよ。なんだよその目は? 文句あんなら言えよ」
;. 「まもなく4番乗り場に列車が到着します。危険ですから、白線の内側までお下がりください」
:. 「ねぇ、帰りにさ。例の店に寄らない? すっごく美味しいクレープ食べようよ」
^. 「俺は天才なの。もうすぐ売れるんだ。バカにしやがって凡人どもが」
<. 「みなさんに悲しいお知らせです。クラスの大切な仲間である□さんが自ら命を断ちました」
>. 「これは現実じゃない。こんなことがあってたまるか。どうしてうちの息子が…」
A. この世界は汚れた電波で溢れている。
A. この世界は生きにくい。
Q. この世界から抜け出すには?
A. 肉体を捨てるしかない。あるいは、魂の入れ物であるこの宇宙服を脱ぎ捨てるしかない。
A. ロゴスを受信するとき
A. わたしは汚れる。汚濁。
俺、ナードの青春、夏とガスガン
それはクソ暑い夏だった
ナードの俺は夏がとにかく嫌いだった
半袖とセーラー服が入り雑じる教室
あのコの髪がエアコンでゆらゆら
もうすぐ夏休みだカラオケにでも行こう
地元のヤンキーがオラついてやがる
きっと海にでも行ってサーフィンするだろう
俺は薄暗い要塞に込もってネットサーフィン
あのコの水着姿をイメージする
ドキドキが止まらない
俺は引き出しからガスガンを取り出し走った
庭で親父のビールの缶をガスガンで撃つ
乾いた銃声 ビシッと打撃音 セミの鳴き声
俺の青春ってなんだろう
俺は今恋をしているのだろうか
ウォークマンから懐メロ
金曜の洋画劇場
アイスクリーム
俺の青春、そこに恋が加わる
少女の夏、俺の夏
告白なんかできやしないよな
ガスガンで俺の心を貫いた
オレンジジュース
朝日が差し込む部屋で
飛び起きて大あくび
なんか嫌な夢見てたけど
切り替えていこうぜ
今日はまだ始まったばかりだ
昨日のことまだ怒ってる?
それなら謝るよ悪かった
テレビの天気予報は晴れだ
そんな顔するなよ
良い一日にしようぜ
焼きたてのパンと
冷たいオレンジジュース
幸せと活力と希望は
その暖色の液体に溶けていくのさ
キックボード
母さんに買ってもらったキックボードに乗る
やわらかい風を切って、走り出す
ネクタイがたなびく
深夜の道路をとばして走る自動車
ヘッドライトが僕を照らす
頭の中に駆動音が反響している
ひたすら地面をキック、キック、キック
今日は母さんの命日
朝日がかすかに世界を照らす
家に向かって、ひたすらキックする
ユートピア -理想郷-
死後の世界があるかなんて、実際に死んでみないと分からない。
死者が口を開き、そこがどんな場所だったかわたしに教えてさえくれればいいものだが。
それは叶わない。絶対に。
はるか太古から、あらゆる生命体は死んでいった。
数えきれない、星の数ほどの生命体が。
人間はどうやら他の動物よりも賢いそうで、死を恐怖する意識が備わっている。
そして、死という絶対に逃れられないイベントの恐怖から逃れるべく宗教を信じたりした。
また、死を最終手段として使って苦痛から逃れた者もたくさんいた。
もしもエデンや極楽があるとするなら。
そこにわたしの家族や知り合いがいるなら。
そこは人類の、あらゆる生命体にとってのユートピアに違いない。
わたしはそこへ行けるだろうか?
悪い子は地獄へ堕ちるのかな?
もしも死が無への入り口なら。
無こそが理想郷なのではないだろうか。
こうしている間にも、わたしは死へと確実に突き進んでいる。
100年後の世界に、わたしは居ない。
わたしが死んだら。
わたしの魂はどこへ行くのだろう?
ユートピアだといいな。
肉体を捨てて、自由になるなら、どこへ行こう?
逢いたい人がいる。
見たい場所がある。
戻りたい時間がある。
わたしが死ねば。
存在がこの世界から消えるだけ。
それは避けられないイベント。