ユートピア -理想郷-
死後の世界があるかなんて、実際に死んでみないと分からない。
死者が口を開き、そこがどんな場所だったかわたしに教えてさえくれればいいものだが。
それは叶わない。絶対に。
はるか太古から、あらゆる生命体は死んでいった。
数えきれない、星の数ほどの生命体が。
人間はどうやら他の動物よりも賢いそうで、死を恐怖する意識が備わっている。
そして、死という絶対に逃れられないイベントの恐怖から逃れるべく宗教を信じたりした。
また、死を最終手段として使って苦痛から逃れた者もたくさんいた。
もしもエデンや極楽があるとするなら。
そこにわたしの家族や知り合いがいるなら。
そこは人類の、あらゆる生命体にとってのユートピアに違いない。
わたしはそこへ行けるだろうか?
悪い子は地獄へ堕ちるのかな?
もしも死が無への入り口なら。
無こそが理想郷なのではないだろうか。
こうしている間にも、わたしは死へと確実に突き進んでいる。
100年後の世界に、わたしは居ない。
わたしが死んだら。
わたしの魂はどこへ行くのだろう?
ユートピアだといいな。
肉体を捨てて、自由になるなら、どこへ行こう?
逢いたい人がいる。
見たい場所がある。
戻りたい時間がある。
わたしが死ねば。
存在がこの世界から消えるだけ。
それは避けられないイベント。
『こんなハズじゃなかった』
「こんなハズじゃなかった」
私は何度そう思ったことだろう。
慌ただしい人生を過ごしてきたが。
私は何一つ手に入れられやしなかった。
ただ、太陽が輝いていただけだった。
それが人並みの幸せだったのかもしれない。
しかしこの虚無感は何なのだ?
すべてが憎い。
すべてが哀しい。
こんなハズではなかったのだ。
私は努力したはずだ。
私は苦しんだはずだ。
努力と苦しみの上に今があるのだ!
しかしなぜ!
こんなに虚しいのか!
私はただ、素敵な人と家庭が欲しかっただけだ。
ただ、ただそれだけだったのだ。
こんな絵など、何の価値もない。
こんな詩など、読むに値しない。
こんな私など、こんな芸術家など。
1999
どんなに時を繰り返せば
あの頃に戻れるでしょう
昔話でもしようか
切なくなるだけか
やっぱりやめよう
色褪せた写真をそっと胸に抱く
あなたと過ごした日々は粉々に砕け散って
いちばん可哀想なのは私でした
砂時計を逆さまにすれば
色は甦るでしょうか
潮風のように私は飛んでいきそう
結局あの年、世界は終わりませんでしたね
わかってたはずだったのに
数十年後も、私はわたしなんだと。
ナイン・ミリ・パラベラム・カートリッジ
私はいわば炸薬である。
私は一人の兵士である。
己の任務を着実に遂行し、パトリオティズムの元、国家に代行し、引き金を引く。
私は戦士である。
私は国家の矛であり、盾である。
私は核弾頭であり、銃弾であり、この星の害悪そのものであり、悪意の権化であり、狼煙である。
戦争は人間が行う。
戦争は国家が行う。
銃は個人の盾となり、矛となる。
核弾頭は国家の盾となり、矛となる。
銃弾から核弾頭まで、あらゆる兵器が揃い、『敵』を牽制する。
平和を希求する者、戦争を望むもの。
私はただの銃弾に過ぎない。
あなたに愛を伝えるとき
髪が全部白くなって
しわくちゃの顔になって
目もあまりよくなくなって
昔の面影がなくなってしまっても
あなたを愛すよ
あなたが僕より先に星になってしまったとしても
どんなに世界が悲惨なものに変わっても
あなたと歩んでいけるなら
そしてあなたが星になったとき
僕もあなたの隣で輝く星になる
死が全てを壊すなんてあり得ない
僕らは死をも超越してやるんだ
この想いを、すべての気持ちをあなたに伝えるとき
これらを「愛」と一字で綴っていいでしょうか?