John Doe(短編小説)

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3/5/2023, 4:46:54 AM

大好きな君に


僕が大好きだった君はもういない。
それがあまりにも非現実的で。
信じられなくて、冗談みたいで。

君がかつて好きだった曲。
Bob DylanのKnockin' on heaven's door。
世界一の詩人が作った世界一の曲。

ノック、ノック、天国のドアをノック。
口ずさむ。涙が頬を伝って、砂浜に染み込む。
大好きな君に、僕の歌を届けよう。

君は扉の向こうへと行ってしまった。
僕は煙突から流れる煙を見た。
これで最後だと知ったとき、僕の世界は壊れてしまった。

3/3/2023, 10:08:05 AM

*;


壊れてしまえ。

3/2/2023, 11:57:40 AM

たった1つの希望


昨日、私は父と口論になった。
そして酒に酔った父は私を殴り、蹴飛ばした。
私は鼓動に合わせて脈打つ痛みに悶えていた。
床に垂れた自身の血液の赤さと、生臭い鉄のような味を覚えている。
おかしいな。
私は昔を思い出す。
ほら、蘇ってきた。
私の頭を優しく撫でる父が。
私に絵本を読み聞かせてくれた父が。
私のためにお弁当を作ってくれた父が。

希望。
私が忘れない限り、今日も私の大好きな父が微笑みかけている。

3/1/2023, 10:29:20 AM

欲望


私はあなたを渇望していた。

心の底から、あなたを求めていた。

多くの獣が群がるように、

様々な絵の具が混じり合うように、

あなたを想う感情が、

溶けて。

溶けて。

私の中に流れ込んできて。

疼いて。

息苦しくなって。

私は

2/28/2023, 12:12:48 PM

遠くの街へ


男のいた街はことごとく崩れていた。
廃墟と化したその街に男ひとり以外の人間は見当たらない。
無数の瓦礫。
干上がった水路。
むき出しの鉄骨。
灰色の空。
ノイズのような風の音。

男は人を求めて街を出た。
より遠くへ、灰色の世界を歩く。

線路の脇に携帯電話が落ちていた。
コール音が響いている。
男は電話を取り、耳元に寄せる。
賑やかな人々の声が聞こえる。

「そこに誰かいるのか」
男は返答を祈るように待っていた。
暫くして、反応があった。

「私はその街にいる。あなたを、皆はずっと待ってる。お願い、早く私を見つけて」

電話が途切れ、男は走り始めた。

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